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Divine Gate -ディバインゲート- 攻略データベース

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ストーリーまとめ【扉の先へ】

「扉の先へ。」

第7章「扉の先へ」に関するストーリーをまとめました。

例外の決定者、アーサーによって突きつけられた最後の「世界の決定」。それは、世界の崩壊と再生を意味していました。 再創された新しい季節より、イマの統合世界を選択した主人公たち。世界の決定を執行する神々を冒涜するお時間が始まります。

下された世界の決定

世界の決定:終章

わぁ、なんか知ってる顔がいるよ。決定者のひとりとして紹介されたのは神才マクスウェル。そして、彼女の翼として少し後ろで寄り添うように浮かんでいたオリジン。彼女がいるからこそ、この世界には科学が溢れ、そして発展していったんだよ。

マクスウェルの隣りにいたのは始祖リリンだった。そう、彼女が妖精と魔物の祖であれば、それは最も神に等しい存在だと言えるよ。世界の決定者になるには、十分すぎる理由さ。リリンはただ一言も発することなく、ただ目の前の事象を見つめていた。

そして、君たちは本当に運がいいね。ロキは紹介を続ける。そう、彼は創醒の聖者。近づけそうで近づけない、逃げられそうで逃げられない、その異様な佇まい。顔を曇らせたのはジャンヌとイージス。あぁ、君たちふたりのその顔が見たかったんだ。

最後にもうひとり紹介しよう。彼が例外の決定者さ。なびく金色の髪。みんなが会いたかったアーサーの登場だ。そしてアーサーは剣を天高く掲げた。俺が君たちへ、最後の決定を下そう。突き立てられた剣。あたりは金色の光に包まれたのだった。

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金色の光が止んだとき、

アカネ

扉の先へ:序章・アカネ

金色の光が止んだとき、アカネは自分が生まれ育った家にいた。暖かな縁側、台所から響く包丁の音。そして、アカネが自分の死を直感したのは、目の前に懐かしい男が現れたからだった。久しぶりだ、アカネ。そこにいたのは、炎才パブロフだった。

縁側に並んだ親子。ここはどこなんだ。きっとここが再創された世界、誰しもが幸せになれる世界……から、外れた例外の世界だろう。アーサーが下した世界の決定、それはディバインゲートを使用し、世界を再び構築すること。じゃあ、なんで俺は。

なぜ、アカネが例外の世界に存在していたのか。それはきっと、オマエが知ったからだろうな。アカネが常界の始まりの地で知ったディバインゲートの真実。そう、扉そのものでもあるアイツが、オマエをこの世界へ隔離したんだ。次の季節の為へと。

俺はそんなこと、望んじゃいない。俺たちは一歩ずつ、それでも前に進んできた。道を踏み間違えることだってあったよ。だけど、俺たちはイマを生きたいんだ。扉がもたらす未来なんか知らない。俺たちの未来は、俺たちが作っていくもんなんだから。

パブロフが突き出した拳。派手に壊してこいよ、そのオマエの拳で。アカネが突き出した拳。あぁ、当たり前だ。茜色に燃える夕日が照らしだしたのは、親子によって交わされた最後の約束。これで、本当にお別れだ。アカネ、オマエはイマを生きろ。

【追想】パブロフ

まどろみの淵、そこにはパブロフと子供がいた。俺は俺の人生を生きた。あぁ、知ってる。だが、最後に言わせて欲しい。聞きたくない。子供はわかっていた。その言葉がなんなのか。俺の父さんは世界で一番格好いいんだ。だから、そんな言葉は聞きたくない。それでこそ、俺の自慢の息子だ。それじゃあ、行ってこい。

在りし日の炎才

父は幼き息子を残し姿を消した。父は父の道を進んだ。そこに後悔はあっただろう。だが、そんな父を唯一肯定してあげられるのは他ならぬ息子ただひとりだった。決して過去を否定せず、イマを肯定し、未来を信じる。それが炎の親子の形だった。

アオト・アリトン

扉の先へ:序章・アオト

キーンコーンカーンコーン。金色の光が止んだとき、鳴り響いたのは放課後を告げるチャイムだった。雨上がりの校庭に立っていたアオトとアリトン。いったい、僕たちは……。そして、そんなふたりに走り寄る少女。久しぶり。そこにはロジンがいた。

この世界は、あったかもしれない世界だと思うんだ。仲良く歳をとり、仲良く学校へと通う双子の青年。そしていま、世界はそんな幸せの世界への再創の道を辿っているよ。いま、私たちが、ここで、こうしているあいだも、世界は終わろうとしている。

破壊と再生、それは幾度となく繰り返されてきた歴史が証明していた。そして、君たちは選ばれた。再生された、再創された新しい季節を託したいと。そして、アオトは口を開いた。あの人はいつも自分勝手だ。僕たちは、そんなことを望んじゃいない。

僕のせいで、弟の人生は壊れた。だけど、僕は壊してしまった昔の僕を否定したりしない。あぁ、だから僕は君に出会うことが出来た。そして、僕たちはともに過去を償う道を選んだ。やっぱり、ふたりは一緒だったんだ。もう、私が言うことはないね。

人はやり直すことは出来ない。だけど、変わっていくことは出来るんだって、僕たちが証明してみせる。止まない雨がないように、いつか晴れ空は広がる。行こう、イマの世界へ。僕たちの生きてきた世界で、僕たちの足で、扉の向こう側へ行くんだ。

【追想】ロジン

最後にまた会うことが出来て嬉しいよ。水溜りに手を伸ばしたロジン。映りこんでいたのは双子の顔。いつまでも、いつまでも見守っているよ。君たちがいたから、君たちがいる。そんなふたりを独り占めしてる、いまの私は幸せ者だね。だけど、私はもう行かなくちゃ。力いっぱいの笑顔。それじゃ、行ってらっしゃい。

在りし日の水通者

僕は君で、君は僕。そこにいたのは幼き日にすれ違った双子。そして、そんな双子を再び結びつけたひとりの少女。傘に三人は入れない。だから私はずっとひとりでいいの。だって、最高の現世だったんだから。それにほら、もう、傘は必要ないんだよ。

ミドリ

扉の先へ:序章・ミドリ

ミドリの目の前に広がった金色の光景、それは竜界の幸せな日常だった。世界を統べる王がいて、王を支える家臣がいて、そして普通に暮らす竜たちがいる。そう、その当たり前の光景こそが、金色に輝く幸せであり、失われてしまった時間だった。

ただ幸せな景色に心を奪われていたミドリを現実に引き戻した声。ねぇ、どうしてあなたが。そこにいたのはヴェルンだった。これが、世界の決定だなんて、粋なヤツだな。ヴェルンの口から語られる統合世界のイマ。あなたも、決定者だったんだね。

俺たちは、幾度となく世界の崩壊と再生を目の当たりにしてきた。そうなるように動いてきた。だが、今回の世界は違った。だから俺は裏切ったんだ。俺たちが間違ってたんじゃないか、って。だから、人間のオマエに問いたい。イマの世界は好きか。

そりゃね、やっぱり喧嘩もするし、争いごとだって起きるよ。でもね、そうやって私たちは生きてきた。沢山の人と出会った。みんな、一生懸命に生きていた。後悔だってするよ。でもね、その分きっと強くなれる。だから私は好きだよ、イマの世界が。

不思議だな、そんな簡単な言葉に救われるなんて。ヴェルンがこぼした本音。だが、案外そういうもんかもしんねぇな。そしてヴェルンは背中を向けた。早くそっから出て来いよ、俺様はひと足先に行ってるからな。もう、ちょっと待ってくださいよー。

ヒカリ

扉の先へ:序章・ヒカリ

晴れ渡った青空、色鮮やかな花が咲き乱れていたのは天界の美宮殿の空中庭園。流れてくる耳に心地良い音楽。そんな庭園の中心にヒカリはいた。そして、そんなヒカリへと歩み寄る三人の男女。そろそろ、お昼にしましょうか。そこには幸せがあった。

紅茶を注ぐオベロン。料理を広げるティターニア。我先にとフルーツに手を伸ばしたモルガン。さぁ、みんなで食べましょう。存在しなかった家族の時間。ねぇ、なんでかな。なんでみんな気づかないの。そう、ヒカリは大きな違和感に気づいていた。

どうして彼はここにいないの。もうひとりの血の繋がった兄、アーサーはその場にいなかった。そして、違和感を口にすると同時にオベロンとモルガンは姿を消した。これがきっと、彼の知る幸せなんです。そう口にしたのはティターニアだった。

彼はあなたに次の世界を託したかった。だから、こうして隔離した。そして、優しい夢を見せた。ティターニアは語る。でも、それって……。ヒカリは気づいていた。そうです、きっと彼は、最後にあなたに選ばせたかったんでしょう。どうすべきかを。

ヒカリの答えは決まっていた。私、何度も考えたんだ。いったい、幸せってなんなんだろう、って。きっと、幸せの形っていっぱいある。でもね、ひとつだけ確かな答えを見つけたよ。幸せは自分の手で、自分たちの手で掴まなきゃいけないんだ、って。

【追想】ティターニア

私とあの人は同じ筆先から生まれた。あなたは、そんなあの人から生まれた。そして、ティターニアはいつかの言葉を否定する。あなたは「私の愛した人の娘」ではありません。あなたを「私の愛する娘」と呼ばせてください。子供の頬を伝う涙。子の旅立ちは、親にとって嬉しいことです。だから、行ってらっしゃい。

在りし日の妖精女王

これはお守りよ。まだ言葉すら話すことの出来ない幼子に渡されたドライバ。いつかきっと、導いてくれるから。託した願い。そして、その願いは呪いでもあった。そして、幼子は常界のとある夫婦へ。あなたが歩む道に、沢山の幸せがありますように。

ユカリ

扉の先へ:序章・ユカリ

私はここを知っている。魔界の深い深い森の奥、ふたりだけの特別な場所。だけど、どうして私はここに。その答えはすぐにわかった。ユカリ、一緒に遊ぼう。ユカリの許へ現れたのは、幼き日のヴァルプルギスだった。私たちだけの、特別な場所よ。

お揃いの紫色のストールが包み込んだのはふたりだけの特別な時間。触れ合う手のひら。だが、決して感じることの出来ないのは温もり。私は、この世界にしか存在出来ないみたいなんだ。そう、優しすぎた時間は、残酷すぎる時間でもあったのだった。

だから私は、最後にユカリにお願いをしたいの。ヴァルプルギスの言葉に黙って頷くユカリ。ねぇ、いまのユカリには、ユカリのことを大切に想ってくれる人がたくさん出来たよ。だから、そんな人たちのために生きて欲しい。私のためじゃなくて、ね。

私はね、もう過去の存在なんだよ。思い出なんだ。だから、もう私のために涙や血を流さないで。それでも行くと言うのなら、ユカリはユカリの人生を生きて欲しい。ユカリを大切に想うみんなを大切にしてあげて。それが、私からの最後のお願いだよ。

思い出は永遠であり、色あせることのない金色。そう、私はユカリの一番の宝物。それだけで、私は幸せだから。ヴァルプルギスは笑顔だった。ありがとう、私の宝物。さようなら、私の宝物。そしてまた、ユカリも笑顔で幼き自分へと別れを告げた。

【追想】ヴァルプルギス

そこにはお揃いのストールがあった。暑すぎた日差しを遮る紫。冷たすぎた風を遮る紫。そして生まれた心地良いふたりだけの空間。もう、いいんだよ。私は後悔してないよ。ヴァルプルギスの声。それでも、ユカリは行くんだよね。小さな体が抱きしめたのはひと回り大きな体。ずっとだいすきだよ、行ってらっしゃい。

在りし日の魔女王

ひとりは永遠に子供だった。ひとりは永遠に子供のままではいられなかった。止まった刻と、止まらない刻。だが、ふたりが過ごした刻は永遠だった。だからね、私には嬉しいこともあるんだ。だってユカリのこと、永遠にだいすきでいられるんだもん。

ギンジ

扉の先へ:序章・ギンジ

そこにはなにもなかった。空っぽだった。ギンジは立ち尽くしていた。だが、灯った小さな炎。あぁ、俺はオマエから真っ直ぐってやつを教えてもらったんだった。なにもない俺に火をつけてくれたのはオマエだったんだ。そして、ギンジは歩き始めた。

歩き始めたギンジを打ち付けた雨。だが、決して動揺することのないギンジ。優しさってやつは、オマエがいたから備わったのかもしんねぇな。そこには誰もいない。だが、ギンジには見えていたのだろう。共に歩んできた、大切な友と呼べる存在が。

歩き続けるギンジを吹きつける風。知ってるぜ、いつだって動かなきゃなにも始まらないって。行動力はオマエが教えてくれたんだ。そしてギンジは走り出す。こんな場所で、道草くってる場合じゃないんだ。少しでも前に、それがいまのギンジだった。

そして、走り続けるギンジの前、眩しい太陽が昇る。ありがとな、オマエの笑顔にはいつも救われてた。そうだ、楽しいときは笑えばいい。辛くたって、笑えるなら笑えばいい。俺のことだって、笑いたきゃ笑えばいいさ。俺は恥じたりなんかしないぜ。

やがて太陽は沈み、夜が訪れる。だが、不安がギンジを襲うことはなかった。冷静さは、オマエがいたからか。ギンジが振り返った大切な仲間たち。みんな、すぐそっちに戻るからな。あぁ、そうさ、俺はみんなと一緒に、イマを生き抜きたいんだ。

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イマの世界への帰還とジャンヌの昔話

扉の先へ:序章・帰還

そこには6つの扉があった。結局、アタシはこっち側よね。クランチは扉に手をかざした。アタシが開くのは錠だけ。出てくるかどうかは、彼次第だから。えぇ、それで構わない。だって、きっと彼だもの。ガチャ。ほら、言ったじゃない。ね、アカネ。

私も彼を信じています。コーラスが錠を外した扉。えぇ、アタシも信じてるわ。そして開かれた扉。だけど、思ってたよりもずっと早かったみたいね。ただいま。アオトとアリトンの帰還。いま、世界は……。ちょっと待ってなさい。もうすぐ、揃うわ。

フランジャが開けた錠。ただいま。間もなくして出てきたミドリ。って、この人たちは。初めてみる調聖者たち。私たちは託されたのよ、アンタらのよく知る神様に。そしてジャンヌは代弁する。アンタたちを信じてた神様、覚えてるかしら、観測神よ。

続く帰還。ええっと、ただいま。ヒカリが浮かべた笑顔。観測神が用意をしていた出口。だけど、彼女はいったいどこに。神様たちにも、色々とあんのよ。因縁の戦いってやつじゃないかしら、そう、刻を司る戦いよ。っていうか、ここはどこでしょう。

ユカリの帰還。あら、みんな早かったじゃない。一瞬生まれる安堵。で、早速説明してもらおうかしら。ジャンヌへと詰め寄るユカリ。もう、わかったわよ。説明を始めるジャンヌ。ここは刻の隙間、観測神のお膝元よ。で、アンタらを待ってたの。

ジャンヌから伝えられた神々の確執。神界を支配しているのは北欧の神々。その他の神々は肩を持つ者もいれば、中立の者も、対立する者もいるの。ガチャリ。一斉に扉を振り返る。あれ、みんないたのか。そして、全員が帰還を果たしたのだった。

続けるわよ。で、世界の決定によって、統合世界を壊すという決断が下された。趣味が悪いわよね、ギリギリまで引っ張っておいて、このタイミングでその決定を下すだなんて。まぁ、その方が次の再生された世界はより高いレベルになるでしょうけど。

って、もう知ってそうな顔ね。そう、アカネたちはすでに知っていた。下された世界の決定を。それじゃあ、いま統合世界は。急に曇り始めたジャンヌの表情。すでに交戦状態よ。主戦場は常界、すでに神々が侵攻を開始している。だから、急ぎなさい。

アタシがみんなを連れて行くわ。もう準備はいらないわね。だが、アカネたちには理解出来なかった。どうして、アンタが俺たちのことを。そして、ジャンヌは振り返らずに告げる。なんかさ、昔の必死だった頃のアタシのことを思い出しちゃったのよ。

アタシは死んで英雄になった。そして、妖精の血を得て「聖人」という生き物に選ばれた。そう、滅びと再生の象徴として。だけど、やっぱりアタシだって人間だった。死んで英雄なんて、伝記で十分。さ、昔話はここまで。ほら、それじゃ行くわよ。

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瓦礫の山、終わる世界

扉の先へ:序章・終わる世界

常界への帰還を果たしたアカネたちを待っていたのは、瓦礫の山へと果てた光景だった。そして、そんなアカネたちに歩み寄るレディ。すでに各地で戦いは始まっています。そう、イマの統合世界の存亡をかけた戦い。だけど、私たちはひとりじゃない。

私の剣が、少しでも力になれば。レディと共にいた誠を背負いしムミョウガタナ。そしてアイスブランド。俺は君たちの力を知っている。だから、ここは俺たちに任せて欲しい。それとね、君たちの力になれるのは、決して俺たちだけじゃないんだから。

そして、優しくアカネたちを迎え入れたヤシロ。そんなアカネたちを襲う六つの力。あまりのんびりしている時間はないようですね。それでは、行きましょうか。きっと大丈夫、ここには彼らもいるんですから。さぁ、神々を冒涜するお時間です。

現れた六つの力

扉の先へ:序章・終わる世界

現れた六つの力、その力のひとつであるフェルノ。俺たちは決して強くない、だけどな、俺たちにだって意地があるんだ。立ち向かうアイン。俺たちは変われた。そしてフェルノへ突き出す拳。だから、オマエらも現実から逃げ出してんじゃねぇよ。

暴炎竜フェルノ

常界を燃やし尽くす竜の炎。暴炎竜フェルノの意志はなかった。ただ、竜の血に支配された哀れな元人間。そうさ、これこそ、次種族<セカンド>のもうひとつの完成形だよ。そうほくそ笑むのは終教祖。キミたちはボクの僕さ。もっと、もっと、もっと、ぎりぎりまで燃やし尽くしてくれ。世界が終わる、そのときまで。

暴水竜シュトロム

シュトロムに結末を選ぶ権利は与えられなかった。ただ、外から与えられた結末、それは竜の血に支配されるという結末。それじゃあ、次はそのとなりの街を壊しましょうか。そう指示して見せた執拗竜。気分がいいものですね、竜を支配するというのは。こうして、与えられた結末は、世界の結末への道を辿り始めた。

シュトロムと対峙したツヴァイ。すべてを洗い流すことなんて出来ない。僕は僕を受け入れた。そして、始まったんだ。そんな世界を、君たちに壊させるわけにはいかない。いっぱい、あるんだ。行きたい場所、話したいこと。だから、君は僕が止める。

暴風精クロン

壊された発電所、消える街灯、夜に染まる街。常界の夜空を舞う蝶、暴風精クロン。その小さな羽ばたきは竜巻を起こし、悲鳴さえもかき消す。そうさ、神様は悪趣味なんだよ。ちっぽけな命でさえも、僕たちに捧げてもらうよ。でも、僕たちに感謝して欲しいな。そのちっぽけな命に、意味を与えてあげるんだから。

暴光精トニング

常界の夜空を舞うもう一匹の蝶、暴光精トニング。行われるパレード。まるで自分が明かりを灯すかのように、放たれる光線。その光の先に沸き起こる悲鳴。美しい景色をありがとう。悲鳴とは反対に、喜びを声にした終教祖。さぁ、夜が訪れるよ。深い深い夜が訪れる、今度こそ、本当の落日を。そして、夜明けを。

私たちはひとりじゃない。ナンバーズの仲間と共に立ち向かうドライ。対峙するのはクロン。そんな偽りの風は、私には通じない。だって、私はもっと強い風の力を知ってる。だから、あなたなんかに負けたりはしない。かかってきなさい、私が相手よ。

フィアにはわかっていた。対峙したトニングが捨てられることを。だから、私はあなたを放っておくことは出来ない。それは、一度は捨てられたフィアだから。そして、もう一度立ち上がることの出来たフィアだからこその想いだった。全力で止めます。

暴闇魔クホール

世界に裏切られた少女は、縋った一筋の光にさえも裏切られた。君は悪くないよ、君は思うがままに生きて死んだ。そして、生まれ変わった。だが、その新しい人生を歩むことの出来ない暴闇魔クホール。可愛いお人形さんだよ。望んでいたじゃないか、君は復讐がしたいんだよね。いいんだよ、好きに復讐してごらん。

クホールが生み出した闇の中、立っていたのはフュンフだった。あなたの心は泣いてる。そして、夜へと逃げ込んだのね。だからってさ、みんなを巻き込むのは間違ってるよ。そんなの子供のすること。夜の果てには光が差す。それを私が教えてあげる。

暴無魔ダスト

自我を失った暴無魔ダスト。だが、彼は決して悲しそうには見えなかった。そうだよね、君は勝ったんだ、この世界の勝者なんだよ。終教祖がおくる賞賛。そうさ、やっぱりぎりぎりまで攻めたいよね、それが君だよね。足掻かせれば足掻かせただけ、理想の未来は訪れるんだから。まぁ、君とはここでお別れだけどさ。

ダストと対峙したゼクス。あぁ、俺は世界のゴミだった。だけどな、そんなゴミにも居場所はあったんだ。でもな、俺はあんたみたいなゴミは嫌いだ。現実から逃げてんなよ。ゴミでも、ゴミらしく、輝いてみせろって。まだ、間に合うんだからさ。

雷鳴竜イヴァン

常界に鳴り響く雷鳴。ほらほら、もっと怯えなさいよ。ぎりぎりまで、足掻きなさいよ。現れたのは雷鳴竜イヴァン。生まれた多くの恐怖。だが、少なからず生まれた勇気。アタシたちは、その小さな勇気が欲しいの。それがきっと、次の世界をよりよくしてくれるわ。まぁ、アンタらは、ひとりも連れて行かないけど。

突然のお届け物

扉の先へ:序章・終わる世界

へぇ、案外踏ん張ってんじゃん。雷鳴と共に常界に現れたイヴァン。だけど、滑稽だね、下等な生き物が必死になってんのは。指先を天に掲げるだけで、雷鳴が轟く。ほら、誰もアタシの指先ひとつに敵いやしないのにさ。ほーらほら、抵抗しなさい。

まったく、趣味が悪い人だ。イヴァンと共に現れたテンゲンとタシン。なに言ってんのよ、アタシらに与えられた仕事は常界を恐怖へと陥れること。そして、少しでも抵抗させることなんだから。せっかくなんだからさ、派手に暴れちゃいましょうって。

アインたちと抗戦するフェルノたち。まぁまぁ、私たちの出番は、彼らが失敗したときでいいじゃないですか。どうせ、彼らは使い捨てなんですから。高みの見物を続けるイヴァンたち。だが、そんな彼女らに一陣の風が。アンタらにお届け者です。

突然のジンソクの登場に驚きを隠せないイヴァンたち。っていうかさ、早くハンコくんないかな。重いんだよね、この荷物。ジンソクが担いでいた大きなふたつの袋。あー、もう無理!お前ら、早く降りやがれって!送料払え!こっちも商売なんだ。

そして、ジンソクが放り投げた袋は突き破られた。配達、どうもありがとな。姿を現した人影。よぉ、俺のこと忘れたとは言わせないぜ。一連の出来事にあっけにとられるイヴァンたち。そう、袋に潜んでいたのはショクミョウ。久しぶりだな、元同僚。

キマった、とでも言いたげな自信満々のショクミョウの表情。この俺が、道を間違えたオマエらの相手をしてやるよ。魂を燃やす男、ショクミョウ。そして、そんなショクミョウを、袋から頭だけ出した半目のままのサフェスが優しく見守っていた。

アンタら、あの塔で瓦礫の下敷きになったんじゃないの。フッ、俺たちは大いなる力を得たんだ。多くを語ろうとしないショクミョウ。俺たちを避難させたのはイージスだ。あっさりと答えを話したのは、大きな袋を脱ぎ捨てたばかりのサフェスだった。

んじゃ、俺は次の仕事があるから。そう言い残し、あっさりと姿を消したジンソク。それじゃあ、始めようぜ。ショクミョウのスイッチは入りっぱなしだった。貴様らは選択を誤った。俺たちについてくればよかったものを。それが賢い生き方なのにな。

私はいったん避難します。その場を離れようとしたタシン。だが、そんなタシンの背後に音もなく現れたサフェス。言葉を発することもなく、タシンの意識は失われた。アンタは、初めから裏切ってたのよね。怒りを露にしたのはイヴァンだった。

サフェスへと落ちる無数の雷。アンタの水と、アタシの雷、どっちが有利かは説明の必要もないわね。それは、当たったらの話だ。口を開いたサフェスは無数の雷をすべてかわしてみせた。もうっ、ウロチョロするんじゃないわよ、このチビ野郎。

その言葉にサフェスが反応を示したのかどうかはわからない。だが、次の瞬間、サフェスが放つ無数の水色の光の玉がイヴァンを取り囲んでいた。そして、そのすべてがイヴァンを襲う。時を同じくして、テンゲンもまた地に膝をついていたのだった。

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それじゃあ、ケンカを始めよう。

扉の先へ:異なる神々

ここはどこなんだろうか。真っ暗な空を見上げた傷だらけのギルガメッシュ。その後ろ、真っ暗な地面を見つめていたエンキドゥ。お前は私が間違っていたと言いたいのだろうか。ギルガメッシュは問う。だが、その問いにエンキドゥは答えなかった。

懐かしいな、こうしてお前とふたりきりになるのは。かつて、神界はいくつもの世界に分かれていた。そして、神界統一戦争の果てに、北欧の神々が神界の統治者となった。お前が奴らに従うなんて考えたくなかった。だが、その問いの答えもなかった。

そして、答えのないまま返ってきた問い。なぜ人間に加担する。それは、ギルガメッシュの体に流れる半分の人間の血を知ったうえでの問い。私は可能性を見出した。彼らなら、この幾度となく繰り返されてきた崩壊を、止められるんじゃないか、って。

その加担が、なにを意味するかを知ってのうえで、だな。その問いで察したギルガメッシュ。まさか、こんな優しさをもらうだなんて、考えてなかった。エンキドゥはただ、ギルガメッシュを止めたかった。俺はいまでも君のことを、友だと思っている。

ありがとう。その言葉に嘘偽りはない。だったら、友として、私のことを見送って欲しい。私は私で選択したんだ、イマの世界で生きると。沢山の人間に出会った。彼らは弱い。ひとりではなにも出来ない。だけど、それでも決して諦めたりしないんだ。

だから私は、あの日戦いに敗れ、諦めてしまった私の続きを生きたいと思う。ギルガメッシュの心は決まっていた。たとえ神界に歯向かい、処刑されることになったとしても後悔はしないと。私はもう十分に生きた。だから、最後は人として生きたい。

それでも行くというのなら。立ち上がったエンキドゥ。俺にその覚悟を見せてみろ。掛け声とともに現れる無数の獣たち。今度は油断したりはしない。立ち上がり、無数のドライバを構えたギルガメッシュ。それじゃあ、ケンカを始めよう。子供の様に。

無数に飛び交う刃と咆哮。生まれては散りゆく無数の欠片。だが、ギルガメッシュは楽しそうだった。世界が大変だっていうのに、私たちはいったいなにをしているんだろうな。そして、それはエンキドゥも同じだった。これが俺たちらしい最後なんだ。

互いの体を傷つけることなく、欠片たちが散りゆく戦い。だが、その戦いも時間が経つにつれ、無数と思われていた刃も獣も減少していく。そして、初めてエンキドゥの頬に届いたのはギルガメッシュの拳。ふたりとも、体力の限界が近づいていた。

お互いの体ひとつでぶつかり合うふたり。その姿は、まるで武器を持たない人間のようだった。そして、時を同じくして地面へと倒れたふたり。口を開いたエンキドゥ。ようやくわかったよ、君が決めた道の意味が。私だけじゃないさ、共に行くんだ。

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ならば私はその刻の――

扉の先へ:刻の神々

クロノスが単独で攻め入った神界。だが、すでにクロノスは刻命神により別の空間に隔離されていた。そして、それこそがクロノスの狙いでもあった。私がここに隔離された以上、あなたたちもここから出ることは出来ない。そう、互いに倒れるまでは。

ウルド

過去を司る女神ウルド。そう、いつだって過去は美しいのだ。人はみな、過ぎ去りし日々へと思いを馳せる。長い時が経てば経つほど、過去は美しくなる。だからこそ、過去を司る女神は光輝いていた。過去は変わらない。過去は絶対。過去は美しい。だからこそ、私に縋ればいい。与えてみせよう、美しく素敵な過去を。

過刻神ウルド

過刻神ウルドが動き出したのには理由があった。刻を司るのは、私たちだけじゃなかったな。剣先が狙うのはただひとり。もうすぐ、いまの世界は終わるんだ。それは世界の決定。そして、もう一度歴史を作る。だから、邪魔をしないでくれ。そして、その言葉を否定する言葉。違うわ、私はただ終わりを観測するだけ。

スクルド

未来を司る女神スクルド。そう、未来には死が待っている。それは長き刻の終わり。それを始まりと呼ぶ者もいるだろう。だが、確実に終わりは訪れ、始まりは訪れないこともある。だから私は闇を纏った。そうさ、私は終わりという未来を与えることが出来る。それは神であるあなたも例外じゃない。わかっているよね。

未刻神スクルド

神界には様々な神々が暮らしている。そして、なぜその神界がラグナティアと呼ばれているのか。そう、神の中にも勝者と敗者が存在していたから。あなたの世界は、私たちに負けたのよ。未刻神スクルドが突きつけた現実。だから、私たちに従っていればいいの。刃向かうことは許されない。たとえ同じ刻神だとしても。

「ラグナ」とは、古北欧語で「神々」という意味。神界の呼び名として北欧の言葉が使われていることから、北欧の神々が神界の勝者であることがわかります。なお、スクルドたち三姉妹は北欧神話、クロノスはギリシャ神話に登場します。

ベルダンディ

未来と過去の間に存在する現在という不確かな時間。存在した次の瞬間、そのイマは過去になる。だから、私は無を司る。現在を司る女神ベルダンディはそう述べた。だが、私という存在は必要とされた。刹那のために。そして、刻が歩みを止めないために。世界は終わる。終わらせる。そして、新たに始めましょう。

現刻神ベルダンディ

現刻神ベルダンディとふたりの姉妹、刻命神が一堂に会したそのとき、目の前にいたのは、かつての神々の争いの敗者であり、同じく刻を司る神だった。あなたは、また私たちの邪魔しようっていうのね。以前に現れた聖なる扉。封印された扉の君。その裏の立役者、観測神。私が観測すべき終わりは、彼らの勝利だから。

私たち3人を相手に、いったいいつまで持つのかしら。ウルドが払った剣先がクロノスの頬を掠める。それは、あなたたちが3人がかりでないと、私のことを止められないのと同義ね。クロノスがみせた余裕。私は私の、止めていた刻を動かすまでよ。

隔離された刻の空間。その空間には現在、過去、未来、そのすべてが混在していた。それは即ち、世界の理から外れた空間。誰にも気づかれることのない戦い。いいさ、私は誰に観測されなくとも。そう、クロノスは自らの役割を嘆きはしなかった。

イマの世界を選択するなど、それは歩みを止めるのと同義だ。ベルダンディはその意味を誰よりも理解していた。それも、人間共に託すなど笑止千万。あぁ、私たちからしたら、彼らのイマなど、一瞬の出来事だろう。そして、クロノスは笑ってみせた。

だがな、その一瞬を彼らは生きている。私たちに頼らずとも、その一瞬の中で、よりよい未来へと歩き続けている。そんな彼らの想いを、私たちの意思で制していいのだろうか。いや、そんな権利など私たちにはないんだ。そうさ、神話の世界へ帰ろう。

私たちがいたからこそ、人間は生まれた。だから、彼らの未来を私たちが決めるのは当然のことだ。そんなウルドの言葉を否定するクロノス。それはすでに過去の話さ。そんな昔話に固執するなんて、お前らしいな。だから私たちは、変われないんだ。

私たちが決められた未来へと導く。そんなスクルドを否定するクロノス。未来には可能性があるんだ。決してひとつじゃない。力と力がぶつかり合うと同時に、想いと想いはぶつかり合う。ならば、次の一撃でどちらが正しいか、決するとでもしようか。

一列に並んだ刻命神。対して、ひとりで立ち向かうクロノス。誰も知らない、誰も気づかない空間で行われた戦い。刻命神の三つの針が重なり、現れた大きな時計の盤面にも似た魔法陣。さぁ、私たちの刻の波に飲まれるがいい。ならば私はその刻の―。

終わりを観測しよう。クロノスの周囲に現れた無数の時計。そのすべてが0時を指し示したとき、戦いは終わりを迎えた。これで、私はよかったのだ。壊れた刻の空間から空へと投げ出された4人の体。いいや、アンタだけは、まだ堕ちちゃいけない。

クロノスの体を受け止めた腕。それはグリュプスの両腕だった。だが、瞳を開けることのないクロノス。いいさ、少しだけ眠ってな、オレが連れてってやるから。さぁ、終わりを観測するんだ。アンタが観測したかった終わりは、アイツらの勝利だろ。

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天才と画神

扉の先へ:天才と画神

緊急事態発生、緊急事態発生。幸せの白兎研究所に鳴り響いた避難警告。現れた六人の画神たち。ここを潰せば、ディバインゲートの干渉は完全になる。そう、いまもなお被害を最小限に食い止めていたのはレプリカが稼動し続けていたからだった。

俺が滅すべき相手は、すでにこの世にはいないみたいだな。だが、そんなレオナルドの正面に自律兵器が立ち塞がっていた。私ニハ、彼ノ血ガ流レテイマス。かつて、炎才が提出した偽りのレポート。そして生まれたカゲロウ。ダカラ、私ガ戦イマス。

ガラクタ風情が、神の力を持つ俺たちに楯突くなどありえない。レオナルドが振るう筆。体の自由を奪われたカゲロウ。口ほどにもない。一歩たりとも動くことが出来ないのは、動くという未来が塗り変えられたから。それじゃあ、腕から潰してこうか。

ガシャン―。地に落ちたカゲロウの左翼の腕。まるで血飛沫のように流れだす燃料。だが、それでもカゲロウは膝をつこうとしなかった。残念デスネ、私ニ痛覚ハ実装サレテイマセン。だったら、粉々になるまで潰すだけだ。レオナルドは歩み寄る。

コノ時ヲ待ッテタ。ふいに動き出したカゲロウはレオナルドを羽交い締めに。なぜ動ける。アナタガ塗リ変エタノハ、私ノ望ンダ未来。ダカラ私ハ望マナカッタ未来ヲ選択スル。アリガト、アカネ、オ父サン。小さな爆発、それがカゲロウの最期だった。

久しぶりだね、先輩。マルクが詰め寄ったのは、そんなマルクに反応を示さず、ただモニターに文字列を打ち続けるシュレディンガーだった。ねぇ、僕のこと無視しないでよ。すでに、シュレディンガーの戦意は喪失されていた。先輩はお人形さんだね。

なら僕がお友達を用意してあげる。マルクの筆先が生み出す無数の化け物。お人形遊びをしよう。だが、それですら興味を示さないシュレディンガー。もう、怒っちゃうよ。だが、シュレディンガーの顔を覗きこむと同時に、マルクの表情は曇り出す。

まさか、君が打ち込んでいたコードは。だが、マルクが気づいたときにはすでに遅かった。直後、昂揚したシュレディンガーが力いっぱいに叩いたエンターキー。モニターに映し出されていたコードは、散ったはずの初恋へと。サミダレ:グスク、起動。

私たちの邪魔をしないでくれ。ついに言葉を発したシュレディンガー。そして、マルクの目の前に立ち塞がったサミダレ:グスク。私は初恋に恋焦がれ、初恋を求めた。そうさ、初恋は永遠の思い出。辿られたのは蒼のクリスマスの日の記憶だけだった。

あの日のアリトンとの交戦、シュレディンガーが追い求めて、一度は散った初恋。そして、再び見つけた思い出の中の初恋。この機体があなたに負けるはずがない。マルクを襲うサミダレ:グスクの刃。そんな……、僕がこんなところで……嘘だァ……!

自分のことを語らず、引き続き研究所に籍をおいていたラプラス。どうしてあなたが人間の味方をしているのかしら。問いかけたフィンセント。それをあなたに話して、なにか変わるのかな。返された言葉。苛立つフィンセント。私たちは同類なのに。

かつて天界は神々と通じ、そして排除された「都合の良い犠牲」という存在たち。私は天界を憎んでいた。創りモノの翼を広げたラプラス。そして、いまも憎んでいる。そう、ラプラスの気持ちは変わってはいない。だけど、もっと憎むべき存在がいた。

そう、それがあなたたちよ。ラプラスの翼から生まれた悲しみの風。だから、私はあなたたちが嫌がることをする。それがいまの私のすべて。フィンセントが放った弾丸は風に逆らい飛んでいく。私は失言した。あなたは、私と同類なんかじゃない。

少なくとも、神へ縋り、神の血を頼ったあなたとは同類じゃないわね。一度は偽りの神へと縋ろうとしたラプラス。だが、彼女は最後まで妖精として生きる道を選んだ。だから、私の意地をみせてあげるわよ。排除されるほどの、私の狂気をね。

ラプラスに直撃した無数の弾丸。ちっとも痛くないわ。どうして。帰るべき場所を失った心に比べたら、ちっとも痛くないって言ってんの。ラプラスが塗り変えられた未来に逆らえた理由もまた、望まない未来を選択したからだった。みんな、元気でね。

あなたが最期に見たいのは、きっと幸せな光景よね。クロードが振るう筆。みんな、逃げるぴょん。妹と助手を逃がすことで精一杯のカルネアデスが捕らわれた花園。知っているかしら、白い兎が逃げ込んだ小さな穴を。それがどこへ繋がっているかを。

カルネアデスを襲ういくつもの幻想。まるであなたは少女のよう。幼き日の幸せを、思い出させてあげるわ。そして、いつまでも幼き日という永遠に閉じ込められたらいい。それがきっと、あなたが本当に望んでいた争いのない幸せな世界なんだから。

人はね、みんな幸せな世界に生まれるの。そして歳をとり、知恵をつけ、汚い世界を知る。そして、幸せを願うようになる。だけど、そんなの無理よ。だって、歳をとることは、幸せから一番遠ざかることなんだから。さぁ、そろそろ永遠におやすみ。

瞳を閉じたカルネアデスの精神は永遠の夢の中へと。ねーね!所長!届くことのない妹と助手の声。だが、瞳を閉じたままのカルネアデスの口角は上がっていた。どうして。焦り始めるクロード。そして開かれた唇。私は世界を半分に分けて考えてた。

クロードが見せた幸せな未来の世界。その世界の中へ行ったのは右目が見つめていた幸せ。あっちに行ったのは私の半分だけ。もう半分の私はここにいる。外した義眼型ドライバ、開いていた左目。そう、あなたに悲しみを与え、そして見届けてあげる。

「白い兎が逃げ込んだ小さな穴」とは、おそらく『不思議の国のアリス』の物語のこと。夢(幻想)の世界へと繋がっています。

私の相手はいないようですね。退屈そうに髭を撫でたサルバドール。そんなサルバドールの背後から聞こえた足音。皆様、いままで本当に申し訳ございませんでした。振り返ったサルバドールの瞳に映ったひとりの男。聖暦の闇才、ただいま戻りました!

懐かしい顔だ、これで退屈は満たされる。見詰め合うふたりの妖精。私は過ちを犯した。だが、こんな私でも、帰りを待ってくれている人がいた。だから今度はそんな人たちの力になりたい。大きな聖戦の中の、小さなひとつの戦いはヘンペルを変えた。

それじゃあ、さっさと裏切り者を始末しようか。未来を描き変えることの出来るサルバドール。だが、そのサルバドールはヘンペルを前に立ち尽くしていた。なぜだ、なぜ私の力が効かない。そう、サルバドールは知らなかった。ヘンペルの命の秘密を。

サルバドールへとにじり寄るヘンペルの少しはだけた胸元。光輝いていたのは義臓型ドライバ。そうか、そういうことだったのか。だが、サルバドールがヘンペルの命の秘密に気づいたときには、すでに手遅れだった。私は聖暦の天才と呼ばれたが―。

よく頭の悪い天才と言われたものだ。さらににじり寄るヘンペル。その昔、私は自らの心臓を失くした。だから私は、死者も同然。死者に未来など存在しない、描き変えることなど、出来やしないのだよ。こうして、争うことなく戦いは終わりを迎えた。

「大きな聖戦の中の、小さなひとつの戦い」とは、聖戦におけるクレオパトラとカグヤの戦いのこと。幼馴染であるクレオパトラがヘンペルを信じて戦う姿を見て、ヘンペルはビヨンドに連れられて研究所へと戻ってきました。

そこを、どくです。メビウスが守っていたのはレプリカに繋がれたメインコンピューター。だめだよ、それだけは出来ない。だったら、どかすだけです。パブロが振るう筆に合わせて、メビウスの真下に現れた大きな穴。逃げることは、出来ぬのです。

この子には、まだ役目があるんだから。必死に対抗するメビウス。その役目が、厄介なんです。原初の機体を元に創られたレプリカ。そして、様々な経験を経て、レプリカは偽者でありながら、オリジンを凌駕した。ここで、ぶっ壊させてもらうです。

この子を壊すというのなら、まずは私を壊してからにして。血の繋がらない魔物と機械。だが、芽生えていた親心。この子は私の大切な子供よ。子供を守ることの出来ない親なんて、親を名乗る資格はない。そして、メビウスは義耳型ドライバを外した。

もう私は怖がったりしない。イマなら、きっと聞こえるから。そう、ディバインゲートが干渉し始めた世界、メビウスの耳に届く未来の声。あなたが未来を塗り変えるのなら、私はその先の未来を聞くだけ。未来に干渉出来るのは、あなただけじゃない!

パブロが未来を塗り変え、そしてその先の未来へと動くメビウス。決着のつかないふたりの戦い。こうなったら体力勝負です。だが、そんなパブロを背後から制したヘンペル。あなたたちは、なに遊んでいるんですか。……ありがとう、お帰りなさい。

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屠竜卿と特務竜隊、そして助っ人

扉の先へ:屠竜卿

感動の再会はそこまでです。研究所に現れたベオウルフ。彼らもよく頑張ってくれましたよ。その言葉は横たわった画神たちへと。それでは、二回戦を始めましょうか。その体で、いったいいつまで持つでしょうか。本当は回収したかったのですが――。

――壊してしまいましょう。殲滅対象、研究所及び、レプリカ。さぁ、存分に暴れるがいい。飛来した5つの影。先陣をきって炎を撒き散らしたのは、すでに自我の失われたデラト。竜を手なずけるのは、やはり楽しいものだ。パーティーを始めようか。

屠竜卿ベオウルフ

画神の襲撃を退けた聖暦の天才たち。だが、すでに天才たちの戦力の大半は失われていた。それじゃあ、最後の仕上げといきましょうか。現れたベオウルフ。まずは、裏切り者の君から。飼いならされた竜が襲う堕闇卿。少し遊んであげてください。異なる竜が襲う生まれたての自律兵器。命乞いするなら、いまだけだよ。

デラトに続き現れたアング。そしてアングもまた、自我は失われていた。君たちの残りの体力で、いったいいつまで持つだろうか。そう、先の戦いで研究所の戦力は半減していた。命乞いの時間は終わったんだ。ただ這い蹲り、己の無力さを嘆くがいい。

ラブーもまた、自我は失われていた。そして、ただ滅びゆく現状に涙を流す。どうか来世は愛に包まれますように。涙すら流さないように、決して苦しむことのないように、逝かせてあげるから。安らかな死、それこそが彼女の愛の形の最終形だった。

一方、世界の悲しみを叫び続けるサッド。どうして自分がこうなってしまったのか、いまとなっては考える思考回路すら残されてはいない。だが、それでもサッドは本質的に感じていた。いま世界を襲う悲しみこそ、イマの世界における最後の悲しみと。

憎しみにとらわれたヘート。引きずりだすことすら出来なくなった生体管理チップ。憎むべきは己か世界か。だが、そんなことはいまのヘートにとってはどうでもよかった。憎しみの答えにすら興味を示さず、ただ目の前の獲物を狩りたいだけだった。

ベオウルフと特務竜隊を前に、抵抗すらままならない残された天才たち。壊れ行く研究設備と、失われゆく血。だが、そんな形勢を逆転させる一太刀。僕は君たちを竜だとは認めない。そう、研究所に現れたのは竜の血を誇りに思うリヴィアだった。

怪我人が出てきたところで、なにも変わりやしないよ。リヴィアをあざ笑ってみせたベオウルフ。それでも、君たちくらいの相手なら、いまの僕でも十分だよ。僕を昔の僕だと思わないでね。リヴィアがみせた自信。僕は決して鍛練を怠りはしなかった。

リヴィアへと襲いかかる5匹の竜。炎や、爪、牙、すべてをかわしながら、軽やかに抗戦してみせるリヴィア。僕にはなさなきゃならないことがある。だから、こんな場所で終わるわけにはいかないんだ。君らにみせてあげる、古竜衆の意地ってやつを。

鞘から引き抜かれたリヴァイアサン。この竜刀をもって、竜を制し、竜の威厳を示させてもらう。右への太刀。引き裂かれるは炎。前への太刀。飛沫へと散る水。左への太刀。終わる愛。後への太刀。途絶えた悲しみ。そして上への太刀。憎しみは終へ。

横たわった5匹の竜。響いたのは乾いた拍手。おめでとう、君は彼らに勝利した。だが、劣勢のはずのベオウルフの表情が曇ることはなかった。それじゃあ、三回戦を始めようか。再び起き上がる5匹の竜。どうして。彼らの痛覚を、遮断しただけさ。

何度切られようと、再び立ち上がり、リヴィアへと襲いかかる5匹の竜。ほら、逃げてばかりいたら、決着はつかないよ。ベオウルフは高みの見物。徐々に消耗されるリヴィアの体力。君はひとつのミスすら、許されないのだから。必死に足掻けばいい。

疲れを感じることのない5匹の竜と、怪我が完治してはいない1匹の竜。どちらが有利かは一目瞭然。そして、リヴィアの足を捉えたアングの刃と、腕を捉えたヘートの刃。退屈な三回戦だったけど――。直後、ベオウルフは背後に殺気を感じていた。

俺の弟を、随分と可愛がってくれたみたいじゃないか。ヒスイが振るう棍。自由を取り戻したリヴィアの体。いつも裏でこそこそしやがって、俺はオマエみたいなヤツが大嫌いだ。ヒスイはベオウルフを睨みつけた。あのときも、オマエの仕業なんだろ。

そんな古い話は忘れたよ。かつての聖戦、魔王に敗北を与えた部外者の一刺し。それに、もう過去に興味はないんだ。ベオウルフが見つめていたのは生まれ変わる世界。だが、丁度よかった。俺も狩り忘れた首があってな。それだけが心残りだったんだ。

ベオウルフの合図、ヒスイを襲う飼いならされた竜型ドライバ。そのすべてを言葉を発することなく叩き潰すヒスイ。そして一歩一歩、ベオウルフへと歩み寄る。だが、再びヒスイを襲うドライバ。そして、やはりそのすべては叩き潰されたのだった。

な、なぜなんだ。顔を歪めたベオウルフ。そして、ベオウルフに顔を近づけながら言葉を発したヒスイ。だから言ったろ、俺はオマエみたいなヤツが大嫌いなんだ。ヒスイの棍が貫いたベオウルフの体。あの世で一生、あの日のあいつらに詫び続けろ。

果てたベオウルフ。だが、まだ終わりではなかった。再び起き上がる特務竜隊。そして、研究室の各所に爆発が起きる。もう、この研究所は持たない。そして、メビウスが下した決断。どうか、私たちを守って。レプリカ:フルバーストモード、再起動。

それじゃあ、俺たちは次の戦いへ行くとしようか。ヒスイが差し出した掌はリヴィアへと。そして、リヴィアはその掌が嬉しかった。ふたりの間に多くの言葉はない。だが、リヴィアはヒスイに必要とされた。それがリヴィアは嬉しかったのだった。

先に次の戦場へと向かったヒスイとリヴィア。それじゃあ、あなたも行ってらっしゃい。そして特務竜隊を殲滅したレプリカもまた、次の戦場へ。だけど、あの姿ってまるで。そう、あの子には、彼との記憶もある。彼があの子に与えた、敗北の記憶が。

レプリカ:エレメンツハート

砕かれたエレメンツハートに集積されていた在る戦闘の記録。かつて、偽者の機体は聖王により敗北を知った。だが、人が失敗を糧に成長するように、機械もまた失敗を糧に成長出来る。痛みはいつかきっと、力になる。そう、立ち止まりさえしなければ。そう、諦めさえしなければ。そう、可能性は無限大なのだから。

「彼があの子に与えた、敗北の記憶」とは、かつて聖なる扉の前でアーサーがレプリカを撃破した時の記憶のこと。

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…お帰りなさい!

竜王家の力が眠るほこら

聖戦:裏側・竜界

足手まといなら言ってね。懐かしい声。一緒にいてくれるだけで、嬉しいよ。ミドリは満面の笑みで返す。もう、戦うことは出来ないかもしれない。だけど、まだ彼にこの命の恩返しが出来てないんだ。ふたりは竜王家の力が眠るほこらを目指していた

ドロシーは長い眠りから目を覚まし、竜王家に伝わる伝承を追い続けていた。竜界のどこかにあると伝わるほこらに滴る最古の竜の血。その血が決める未来。もし伝承が真実なら。踊る胸。だが、ふたりの長い旅路の果てに、俯いた少女がいたのだった。

ねぇ、どうしてそんな顔をしているの。ミドリが声をかけたのは、ただ立ち尽くしていたカナン。そして、カナンはただ首を横に振る。途切れた希望。オマエら、ずいぶん懐かしい御伽噺を知ってんだな。そこには、更なる招かれざる客がいたのだった。

探したぜ、久しぶりだな、お姫様。現れたヴェルンはカナンを見つめる。棍を構えたミドリの背後、突きつけられたファブラの刃。安心しろ、危害は加えねぇよ。俺達は連れて行って欲しい場所があるだけだ。だから、少し道案内をしてくれねぇかな。

私は、それでも諦めない。だから、行ってくるね。ドロシーはひとり奥へと。ミドリとカナンはヴェルン達と共に。…

激化する聖戦の裏で、復活を遂げたドロシーはひとり、最古の竜の血が滴る伝承のほこらをめざしていました。そんなドロシーの目の前に、古詛竜ハムが立ちはだかります。

ハム

いつまで探してるつもりなの。ここは最古の竜の血が滴る伝承のほこら。あなたは、誰。道化嬢が振り向くと、そこにはハムがいた。だから、いつまで探してんのって聞いてんのよ。それはすなわち、諦めを促す言葉だった。だとしたら、私の答えはただひとつよ。両手に集められたのは、道化竜に教わった魔法だった。

古詛竜ハム

そう、私は見つかるまで探す。道化嬢が放った闇をいとも簡単に消し去った古詛竜ハム。アンタ、戦える体じゃないんだから止めときなって。だが、道化嬢の瞳は輝いていた。じゃあ、どうして私を止めに来たの。そう、障害の出現と結びついた希望。私、あなたの話も調べたの。一族を裏切り神に加担した、元お姫様ね。

扉の先へ:古の竜

最古の竜の血が眠ると言われる祠、対峙していたのはドロシーとハム。例えその体に竜の血を宿そうと、所詮半分は下等な人間よ。ぶつかり合う闇と炎。だけど、あなたのその体の半分はなにかしら。ドロシーは知っていた。あなたは純血の竜じゃない。

だったらなんだって言うのよ。怒りを露にしたハム。そしてドロシーは続ける。あなたも竜界を裏切り、そして神へと懇願したの。だけど、あなたは信用されなかった。そして与えられたのが、半分の妖精の血。そう、それはあなたを縛る憎き血よね。

そして、あなたに唯一与えられた仕事は、この祠の最深部を守ること。なぜなら、ここには大切な血が眠っているから。ドロシーは活気付いていた。それがわかったところで、アンタはここで私に殺されんのよ。ハムもまた、活気付いていたのだった。

どうせ死ぬのなら、せっかくだし答えを教えてあげるわ。語り出したハム。確かにこの奥に眠っているわよ、最古の竜の血が、私たち竜界の「決定者だった裏切り者」の血が、ヴェルンの血が。肯定されたドロシーの行動。だけど、それだけじゃ無駄よ。

どういう意味よ。引き下がることのないドロシー。わかっているわ、アンタがしたいのは彼を再び呼び覚ますことよね、そう、哀れな綴られし道化竜を。教えてあげる。生まれながらにして彼に与えられた、決して抗うことの出来ない綴られし運命を。

オズに与えられた綴られし運命

【追想】オズ

かつての神竜戦争、そして敗者である竜界が受け入れざるを得なかったのは、牽制という目的で綴られた火竜。だが、その役目を彼は知らされていなかった。そして、その事実を知るものはごく一部。ふつうの竜のように歳を重ねたオズ。だから、ボクはずっと楽しみだったんだよ。キミがその運命にどう抗い生きるのか。

扉の先へ:道化竜・回想

神竜戦争の果て、オズは牽制を目的に綴られた。そして、それを受け入れざるを得なかった竜界。だが、オズはすでに人でいう成人に達していた。そう、彼に幼き日など存在しなかった。父母から命を授からず、ただ紙にインクで綴られた存在だった。

だが、なぜか竜界には彼の幼き日を知るものが存在していた。竜王として竜界を治めていたノアもそのひとりだった。そう、なぜなら彼は「彼女の幼馴染」として綴られたから。すべての記憶は偽り。そしてその偽りの記憶は、彼だけではなかった。

竜界にオズという竜がいた。その世界にはあたかも「オズ」という竜が初めから存在していた、それが彼が綴られた影響範囲。真実を知らず、オズは竜界の端で暮らしていた。そんな彼の許を、ひとりの神様が訪れるまでは。真実を知ってしまうまでは。

ボクは君に選ばせたい。仮面の男が伝えたオズの真実。そう、君の記憶は偽りだらけなんだ。本当の家族なんて存在しないよ。すべて創り物さ。それでも、この竜界はキミの居場所なのかい?もし、キミの居場所がないのなら、ボクが居場所を与えよう。

どうか、行かないでくれ。すべてを知ってなお、ノアはオズを引きとめようとした。だが、頷くことのないオズ。彼女に会ったら伝えてください。僕は竜界を裏切ったのだと。いつかの花飾りも、捨ててくれと。それがきっと、彼女のためなんです。

【追想】古神殿ヒルズアーク

綴られた存在。だが、そこには確かに命が存在していた。過ごした時間が存在していた。なぜ、僕に力を与えてくれなかったのでしょうか。嘆き。憂い。だが、その感情が突き動かした心。そう、僕は道化竜。だから、最後まで道化を演じるだけです。

扉の先へ:道化竜・回想

こうして、オズは竜界から姿を消した。そして訪れたのは、竜界より下位なる世界の常界。ようこそ、ボクの許へ。そう、オズを迎え入れたのは世界評議会の聖人会議長の息子であり、特別な役割を与えられたロキ。共に優しい世界を創ろうじゃないか。

偽りの温かな記憶ではなく、本物の家族を求めたオズ。そして集まったオズの家族たち。僕が優しい世界を創ってみせます。そう、オズは心からそう思っていた。だが、それでもオズは無力だった。そして、北欧の神々に縋ってしまったのだった。

後悔したときにはすでに遅かった。せめてもの償いにと、自分に残されていた時間と引き換えたオズ。そして、力を失くしたオズが運び込まれたのは竜界。そんなオズに対して、いつかと同じ右手を差し出したノア。それでもお前は、私の友なんだ。

居場所ならあった。それは偽りかもしれない。だが、それでも自分の居場所を作ってくれる存在がいた。過去を嘆き、そして過去への償い。オズは再び竜界の力になると誓う。だが、オズの居場所は竜界だけではなかった。まだ、オズの話は終わらない。

自ら告げたサヨナラ。頼りない父でごめんなさい。だが、そんなこと、誰も思っていなかった。そこに言葉はない。だが、それでも家族たちはオズの帰りを待っていた。イマも待っている。サヨナラは認めない。あなたは、私たちのお父さんなんだから。

ドラマチックなフィナーレを

扉の先へ:古の竜

そう、彼の記憶は偽りだらけ。そして、もう一度綴るなど不可能なこと。だが、決してドロシーは諦めはしなかった。私はあなたを倒して、最古の竜の血を手に入れる。なにを言ってるのかしら。血だけで、綴ることなど出来ないわ。頑張っても無駄よ。

そこに少しでも可能性があるのなら、私は諦めたりしない。いつか教えてもらった魔法。いまの私なら、あのときよりも強い。ドロシーの放つ闇は、魔法と呼ぶには小さく、限りなく純血の竜の放つ闇へと近づいていた。だから、私は負けたりしない。

いくら竜の血を得たところで、私に勝てるわけないじゃない。ハムの血の半分が妖精のものだとしても、残り半分の竜の血は、竜王家の血。ハムの炎がかき消すドロシーの闇。だが、それでも再び生まれたドロシーの闇。どうして、立ち向かえるのよ。

それは、あなたが言ったとおりよ。ドロシーに輸血された竜の血。そう、私の体に流れているのは、あなたと同じ竜王家の血。まさか、それじゃあ。だから、私はあの人のためにも、古竜王のためにも負けたりしない。だって、託してくれたんだから。

道化竜嬢ドロシー

この姿、みんなには見られたくなかったんだ。ドロシーの瞳の形は変わる。ごめんね、私は嘘をついていた。私がもう一度戦うには、これ以外の方法はなかったから。馬鹿な真似をしたものね。だが、言葉とは裏腹にたじろぐ古詛竜。そう、私はもう普通の人じゃない。生死の淵から帰ってきた体には竜の血が流れていた。

これで終わりにしましょう。竜王家の純血なる闇を纏ったドロシー。私にだって、意地があるのよ。竜王家の純血なる炎を纏ったハム。次の一撃で勝敗は決する。そう確信したのは両者共に。最古の竜の祠、小さくも大きな意味を持つ戦いは幕を下ろす。

そんな、まさか。先に倒れたのはドロシーだった。所詮は人間だってことよ。だが、ハムの息も上がりきっていた。よくも無駄に足掻いたわね、無駄だって言ったのに。ハムが口にしていた「無駄」の意味。例え血を手に入れても、誰が綴れるのかしら。

その役目は、ワタシに任せてもらえますかな。鳴り響く笛の音。現れたウサギのキグルミ。そんなキグルミの背後、ドロシーが会いたくて仕方のなかった者たちが。さぁさぁ、これで形勢逆転、ドラマチックなフィナーレをあなたへお届けしましょう!

トトが生み出した無数の水竜。天へと誘うかのごとく、ハムを取り囲み舞い踊る。パレードはまだ、始まったばかり。アナタの為の特等席で、水と風と光と無のショーをご覧ください。そう、オズのことを想っていたのはドロシーだけではなかった。

水竜をつきぬけ、風の刃が舞い踊る。急な竜巻にご用心。もちろん、その行動に言葉が乗ることはない。だが、その行動に乗せられていた想い。みんな、ありがとう。そんな彼らの姿に、ドロシーはただ胸が締め付けられる。そう、私だけじゃないんだ。

空を翔る獅子。それは空想上の生き物。だが、レオンはただ神々しく羽ばたいてみせた。突き抜けた天井。光届かぬ祠へ差し込む光。そして、降り注いだ光の羽が突き刺した体。それじゃあ、最後に仕上げといこう。不器用な君たちに相応しい仕上げさ!

現代の技術を以てすれば、第一世代であるブリキに言葉を与えることは出来た。けれど、そうしなかったのは、そうせずとも気持ちを伝えることが出来たから。そんなブリキの想い。最後は物理で押しつぶしちゃえ!それが、君たちらしさってやつさ。

家族の形

立ち上がることの出来ないハム。そんなハムへと歩み寄るのは、片足を引きずったドロシーだった。これが、私たち家族の想いなんだよ。家族を裏切ったハムへと刺さる言葉。さっさと、さっさと私を殺しなさいよ!だが、ドロシーはそれを否定した。

あなたを殺したところで、私たちは嬉しくないよ。それに、あなたにもいつか、帰れるときが来るから。そして、ドロシーたちはハムの横を通り過ぎた。だが、そんな遠ざかるドロシーたちの背中へと向けられた言葉。最古の竜の血だけじゃ、無駄よ。

最古の竜の血、綴る力を持ったボーム。条件は揃ったはずよ。条件はそれだけじゃない。それはかつて竜王が説いた優しさであり、竜王家にのみ伝わる。その答えは、竜道閣の奥に眠ってる。いや、大切にしまっていた、と言った方が適切かもしれない。

そっか、ありがとう。ドロシーは笑顔だった。なんで笑っているのよ。ハムは不思議だった。竜道閣は多くの綴られし者が封じられた場所。最奥へ辿り着くことなんて出来るわけないわ。ううん、出来るよ。だって、そこにはあの子が向かったんだから。

あなたのよく知る、あの子だよ。ドロシーたちの背中へ近づく足音。まさか、あの子っていうのは……。ハムの瞳には近づく足音の正体が映し出されていた。そして、その正体の手には、一冊の分厚い本が握られていた。辿り着いたっていうの……!?

それじゃあ、先に行ってるね。ドロシーはその足音の正体を確認することなく、奥へと歩き始めた。そして、足音の正体はハムの正面で立ち止まる。久しぶりね。言葉を発した足音の正体。やっぱり、私に会いたくなかったのかしら。ねぇ、お母さん。

年ぶりだろうか、何十年ぶりだろうか、何百年ぶりだろうか。果たされた再会。大きくなったじゃない。顔をあげたハム、瞳に映し出されたカナン。この竜界に、あなたの居場所はない。だけど、居場所は作れるの。それを、あの人は教えてくれた。

それじゃあ、行ってくるね。ハムへと向けられたお別れの言葉。決して振り返ることのないカナン。そして、カナンを呼び止めることの出来ないハム。そう、ハムはただ下を向き、後悔の涙を流していたから。それもまた、ひとつの家族の形だった。

紫陽将カナン

戦争なんてどうでもいい。古神殿に残った竜界の姫。私は真実を知りたい。向かったのは竜道閣。幾重にも連なった綴られし間を越え、辿り着いたのは最後の頁。やっぱり、ここに辿り着く資格を持っていたのは、あなただったんですね。聞こえた声。だから私は、成すべきことを。そして、紫陽将カナンは生まれた。

みんな、―ただいま。

お待たせ。ドロシーたちの横に並んだカナン。ドロシーはブリキに抱えられ、少し高い位置からありがとうを伝えた。ううん、お礼を言うのは私のほう。私じゃ、最奥を見つけることは出来なかった。そんなふたりの瞳には、希望だけが満ち溢れていた。

さぁ、到着だよ。祠の最深部、岩のくぼみには、枯れることのない最古の竜の血が。これでやっと、もう一度会えるんだ。目を輝かせていたドロシー。その前に、ワタシからお話をさせてもらってもいいかな。やけに真剣な声は、ボームのものだった。

彼を再び綴ったとしても、それは彼の物語の続きでしかない。その言葉がいったいなにを意味しているのか。そう、彼には綴られし者という、逃れることの出来ない運命が待っている。そんな過酷な運命に、彼を再び呼び戻しても、本当にいいのかな。

ボームは知っていた。この先、オズに与えられるべき運命の結末を。彼の命を握っているのはワタシじゃない。アイツの気分ひとつで、彼の結末は訪れてしまう。命は失われてしまうんだ。だからアイツは、彼を生かし続けた。いつでも殺せるんだから。

それなら、答えは簡単じゃない。自信満々の笑みを浮かべたドロシー。って、それは私の言葉じゃないか。そう言いながら見つめた先にいたのはカナン。約束する、そんな運命、私が壊してみせるって。そして、カナンは一足先にその場を後にした。

やっぱ、会うのは照れくさかったのかな。カナンを見送ったドロシー。それじゃあ、始めるよ。筆を手にしたボーム。書に綴られた文字は踊りだし、すべての文字が炎に包まれる。その炎が落とした竜の影。ドロシーの瞳に溜まった涙。…お帰りなさい!

道化焔竜オズ

綴られし存在に本物の家族など存在していなかった。血の繋がりなど存在していなかった。だが、確かに本物の家族は存在していた。血の繋がりよりも、遥かに強い想いの繋がり。そして、沢山の想いが繋いだひとつの命。帰ってきたオズ。そう、たった四文字を、どれだけ待ちわびていただろうか。みんな、―ただいま。

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原初と偽物

サヨナラを言いに

扉の先へ:神才

常界の様子を見つめていたのは、神界のロキとマクスウェル。これで、この世界は終わるんだね。少し感傷的なマクスウェル。なにか言いたげな顔だね。問いかけるマクスウェル。そうだね、私は伝えなきゃいけない。サヨナラを、言いに行きたいんだ。

それじゃあ、連れて行ってくれるかな。マクスウェルを乗せたオリジンが向かった先は常界。わざわざ私たちが出向く必要もないと思いますが。少し苛立つオリジン。私はずっと、好奇心を信じて生きてきた。だから、生まれた好奇心を大切にしたい。

だが、マクスウェルはとある言葉を口にしていた。サヨナラを言いに行きたいと。その言葉は、いったい誰に向けられるのか。その言葉に、どんな意味があるのか。そして、普段みせることのない真剣な表情を浮かべ、常界へと降り立とうとしていた。

壊さなくてもよいのでしょうか。オリジンが抱いた疑問。それは私じゃなくても、誰かがしてくれる。だから、私たちにしか出来ないことをしよう。私たちが見る可能性の結末。だから、私たちの邪魔しないで。マクスウェルは目前の瞳を睨みつけた。

―ねぇ、イージス。マクスウェルとオリジンの前、立ち塞がったのは六聖人のひとりであり、世界の決定を裏切ったイージスだった。我が君主の願いは、私の願いでもあるのです。知ってるよ、もちろん。だけどさ、それがどうしてイマだったのかな。

なんども繰り返されてきた歴史。そのたびに、終わる世界を見送っていたイージス。私はそれがずっと正しいと思っていた。だが、どうやら私の思考にエラーが出てしまったようだ。かつて神界での争いで命を落とした君主。そう、私は守りたいんだ。

君主の子らはイマも世界に生きている。生まれ変わる世界に、その子らの幸せはあるだろうか。それを、私たちが決めていいことなのだろうか。イージスが自ら下した裏切りという決断。嫌いじゃないよ、そういうの。マクスウェルはそう答えてみせた。

だから、私も可能性を見届けにきた。サヨナラを告げるべきは、不確かなイマか、確実な未来か。そのために、あなたは私の弊害になる。そうです、私はあなたを止めるために来ました。それじゃあ、私たちがすべきことは、ひとつだけってことだね。

オリジンから離れ、スパナを構えたマクスウェル。そして、対するは盾を展開したイージス。邪魔はさせない。これは私がイマの世界に感じた最後の可能性だから。だから、オリジン、私に構わず存分に戦って。もうすぐ、もうすぐあの子が来るから。

そう、マクスウェルは自らを守ることではなく、オリジンに戦わせる選択をした。そのために、イージスの相手を引き受けたマクスウェル。私にとってさ、あなたの戦いは最高に意味のあることなんだ。そしてオリジンの前、現れたのはレプリカだった。

舞台は調った。私には、この戦いを見届ける義務がある。好奇心を抑えることの出来ないマクスウェル。そして、イージスも感じていたこの戦いが持つ大切な意味。どうやら、私たちは部外者のようですね。そしてふたりはただ静観を始めたのだった。

願ってはいけない結末

扉の先へ:神才

まずは、君の出番だよ。改造の施されたイザヨイ。対するは、モード:オロチへ再起動したレプリカ。吹き飛ぶ腕と傷つく体。きっと君は勝てない。だけど、君は君の仕事をしてくれた。それだけで私は君と出会えてよかったよ。ありがとう、イザヨイ。

俺っち、我慢するのは得意じゃねーんだ。次に飛び出してきたルル。対するレプリカが再起動したモード:ナユタ。そうさ、俺っちたちは壊し合いをしようじゃねぇか。共に守りを捨てた姿勢。だが、力の差は歴然だった。ひとりで無理しないで。

思わず飛び出してきたリリ。合わせて、モード:ミヤビへと再起動したレプリカ。だが、いくらリリの加勢があれ、レプリカの猛攻を止めることは出来やしない。交錯するたびに傷が増える一対の機体。だが、決してふたりは諦めようとはしなかった。

モード:ホムラへと再起動し、ふたりの相手を続けるレプリカ。だが、それでもまだレプリカは余力を残していた。こうなったら、もう俺っちたちには、ほかの手段はないみたいだな。そう、ルルとリリが成し遂げたかった目的はたったひとつだった。

ふたりに与えられた目的はレプリカの本気を引き出すこと。だからこそ、ふたりはマクスウェルに内緒で、自らの体に改造を施していた。次に再起動されたモード:マブイ。そんなレプリカへと襲い掛かったのは活動を停止したはずのイザヨイだった。

次を止めれば。6番目の姿、モード:カグラへと再起動したレプリカ。すかさずレプリカの左腕にしがみつくルル。右腕にしがみつくリリ。止めて!そう叫んだマクスウェル。ありがとな、母さん。さよなら、ママ。そして、辺りは爆発に包まれた。

ねぇ、聞いて。マクスウェルはイージスへ言葉をかけた。みんなは、私が思っていたよりも成長していたみたい。感じていた可能性。どうしてだろう、私は願ってはいけない結末を願ってしまいそうだよ。だが、マクスウェルはどこか寂しそうだった。

イージスはマクスウェルの言葉の意味を理解していた。予想を超えた成長、それはイマの世界が促した成長。だからこそ、私は最後まで見届けたい。どんな結末が待っていても、私は好奇心を抑えることが出来ないんだ。サヨナラは、すぐそこみたい。

爆発が止んだとき、空に浮いていたのはレプリカだけだった。ついに翼を広げたオリジンはレプリカの前へ。あのときの続きを始めましょう。あなたの本気と私の本気、優劣をつけましょう。対するレプリカの言葉。モード:フルバースト、再起動。

原初と偽者、優劣を求めて

レプリカ:フルバースト

原初の機体と偽者の機体、そのどちらが正しいか。答えの出ない問。そう、答えなど存在しない。では、どちらが優れているか。答えの出せる問。そう、その答えのために刃を交えるオリジンとレプリカ。勝敗でしか辿り着くことの出来ない運命、喜びにも嘆きにも似た悲鳴。再起動<リブート>、モード:フルバースト。

扉の先へ:神才

これが、あなたの本気なのね。レプリカ:フルバースト、その姿はまるでかつての聖王のようだった。振り下ろされる大剣、受け止めることなくかわす体。楽しくなってきたわ。いったい、どちらが世界の光になれるかしら。原初と偽者、優劣を求めて。

続く二撃目。あえてかわさず、機械の左翼で受け止めたオリジン。すかさず、光の右翼はレプリカの体を襲う。だが、それを剣を持たぬ腕で受け止めたレプリカ。案外、丈夫に出来てるじゃない。そう、互いに一歩も引かない戦いは始まったばかり。

世界は日々進化する。一歩ずつ、前へと歩いていく。昨日は過去になる。私が歩んできた世界の速度に、あなたはついてこれない。そう、原初の機体が掲げたプライド。戦いの中で更なる進化を遂げるオリジン。その攻撃は、もう私には効かないのよ。

自らプログラムを書き換えるオリジン。そう、次の瞬間の私は、イマの私を越える。そして、その進化は止まらない。進化を繰り返すたび、新たな攻撃を繰り出すオリジン。防戦一方のレプリカ。所詮は偽者、やっぱり優れていたのは私のほうだったわ。

30秒毎、10秒毎、1秒毎に進化し続けるオリジン。私はその行き着く結末を知りたい。そうこぼしたマクスウェル。だが、マクスウェルが知りたい結末はそれだけではない。負けないで。そう、なぜかマクスウェルは優勢のオリジンへ言葉を贈った。

防戦のレプリカ。だが、その目は死んではいない。三本の腕で前方を塞ぎながらオリジンへ。一本。縮まり出した距離。一本。縮まる距離。一本。更に縮まる距離。三本の腕と引き換えに手に入れた射程圏内。そして、剣を握った最後の一本を前へ――。

あなたの願いは届かない。右翼を切り裂き左翼を貫いた大剣。だが、届かなかった剣先。もがれた最後の一本。翼を失い墜ちる二機。あと少しだったのにね。あと一歩、レプリカの想いは届かなかった。―未だ、終わらない。モード:バースト、再起動。

まさか、そんな。最後に選ばれたのはレプリカの始まりでもあるモード:バースト。これがボクの最後だ。レプリカ本人の右手が捉えたオリジンの左頬。オリジンの右手が捉えたレプリカの左頬。倒れた二機。そして、立ち上がったのはレプリカだった。

私がサヨナラを言うべきは

扉の先へ:神才

立ち上がることすらままならないオリジンへと駆け寄ったマクスウェル。そして、そんなマクスウェルを見ることが出来ないオリジン。そう、決された優劣。だけど、私は思うんだ。ふたりがいたから、ふたりは共に成長出来た。これが結末だったんだ。

歩み寄るイージスへ語りかけるマクスウェル。私は好奇心の結末へ辿り着いたよ。イマの世界が、私の限界を超えた。そう、だから世界を創り直す必要なんてなかったんだ。私がサヨナラを言うべきは、イマの世界じゃなくて、新しい世界だったんだね。

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始祖との戦い

私たちの王が繋いだ手のために

扉の先へ:始祖

魔界に降り立った始祖リリン。さぁ、終わりを始めましょう。だが、そんなリリンを止めるべく、魔界に降り立ったヒカリとユカリ。私たちが生きるイマの世界を、壊させたりしない。こうして、魔界でも世界の終わりをかけた戦いが始まるのだった。

リリンに従う創魔魂と創精魂。その二匹が放つ無数の攻撃。そして、受け止めたのはヒカリでもユカリでもなく、魔参謀長ファティマだった。あなたたちは力を温存してなさい。ここは私たちに任せてもらえるかしら。あなたも――。

――そう思うわよね、ヴィヴィアン。ファティマはひとりじゃなかった。そして、ふたりでもなかった。精参謀長ヴィヴィアンは宣言する。天界も魔界も関係ない。私たちの王が繋いだ手のために、すべてをかけて戦うと。ここにひとつになると誓う。

応ッ!無数の声。そして、我先に飛び出したヒメヅル。私だって、負けないよ。ヒメヅルを追い越したのは真晴隊を引き連れたサニィ。ふたりは舞うかのごとく、創魔魂への活路を開く。聖戦で流れた沢山の涙。だが、沢山の絆も生まれていたのだった。

それじゃあ、こっちは私たちかな。フードを深くかぶりなおしたアカズキン。たち、って、いつも勝手ね。そう言いながら、前へ出たヘレネ。あなたとは、言ってないけど? 生まれたのは小さな日常の笑い。こうして、創精魂への活路は生まれた。

私たちは守りを固めさせてもらう。創魔魂から生まれる沢山の攻撃を弾いてみせたのはムラサメと真蒼隊の隊員たち。そして、こぼれた攻撃を防いだのはレイニィと真雨隊の隊員たち。へぇ、いい顔になったじゃない。ここにもまた、絆は生まれていた。

私たちの女王に、指一本たりとも触れさせやしない。アリスの掛け声と共に、不思議の国の軍勢は盾を構えた。私たちはイマを生きて、そして次への道を作る。アリスと並び、羽衣で攻撃を受け流したオノノコマチ。私たちは死ぬわけにはいかない。

あぁ、いつになく風が泣いている。オレも同感だ、ベイベ。意味不明な隊長ふたり、戸惑う隊員たち。だが、小さな風はやがて大きな風へ。俺たちが、この戦いに風を巻き起こす。オレたちこそ風になるぜ、ベイベ。さぁ、全力で迎撃だ。俺たちの風よ。

いいのよ、あなたは寝ていても。イバラへと声をかけたヨウキヒ。ううん、大丈夫だよ。この戦いが終わったら、いっぱい眠らせてもらうから。それじゃあ、一緒に行きましょう。私たちは、私たちの戦い方をするまで。オヤスミを、あなたにあげる。

ライキリは刀を引き抜き、目前の創魔魂へ剣先を向けた。みんな、僕についてこい。各々に武器を構える真閃隊。そして、構えたのは真眩隊の隊員も同じだった。どうやら俺の部下たちもオマエを認めたみたいだな。隣には嬉しそうなシャイニィがいた。

どうか、勝利の祝福を私たちに。胸元で結ばれた両手、願いを込めたカタリナ。その願い、私たちも混ぜてくれるかしら。カタリナの隣、笑顔のシンデレラ。えぇ、もちろんですとも。だって私たちは、すでに友ですから。それじゃあ、暴れましょう!

言葉ひとつ交わさないムラマサとクラウディ。だが、次第に漏れ出した笑い声。ふふふ。フフフ。ふふふ。フフフ。そして、その笑い声を合図に飛び出したふたり。続く隊員たち。言葉なくとも、ふたりの想いは同じだった。私たちがブっ殺死てあげる。

あなたの友も、帰ってくるといいわね。クレオパトラへ語りかけたカグヤ。大丈夫、きっとアイツなら上手くやってるはず。だから、私も頑張らなくちゃ。そしてふたりは隊員と共に前線へ。私たちの、私たちが生きるイマの為の戦いを始めましょう。

よく逃げ出さなかったじゃねぇか。ナキリが語りかけた先はスノウィ。まっ、これも仕事だからね。目を合わせようともしないスノウィ。んじゃ、足引っ張るんじゃねぇぞ。そっちこそ。不器用なふたり。だが、それでもふたりにも絆は芽生えていた。

あら、遅かったじゃない。シラユキが語りかけた先にいたひとりの美女。エリザベート、ただいま戻りました。私も戦わせてください。彼のため、彼らのために。うん、行ってらっしゃい。そんな彼女の背中を押したのはヴィヴィアンだった。

リリンへ立ち向かう天界、魔界の将と兵。だが、その全勢力をもってしても創魔魂と創精魂の力を抑えるので精一杯だった。あぁ、無力な子供たちよ。嘆くリリン。そんなリリンへ向けられたふたつの攻撃。暇そうなら、私たちの相手してくれるかしら。

ふたつの攻撃の正体、それはファティマとヴィヴィアンによるものだった。そして、その攻撃を動くことなくかき消してみせたリリン。愚かな子供たちよ。なぜ、私に抗う。待っているのは終わりだけだというのに。ただ安らかに、眠ればよいものを。

確かに親は子に試練を与える。そう語りかけながら、攻撃の手を休めることのないヴィヴィアン。だけど、そこには必ず愛情がある。手にしたアロンダイト・シン。たとえ、血が繋がっていなくても。それは、ヴィヴィアンだからこそ伝える想いだった。

だが、そんなヴィヴィアンへ向けられたリリンの攻撃。すかさず止めに入ったファティマ。だが、弾かれてしまったファティマの杖。それじゃ、私も使おうかしら。取り出したのはアポカリプス・レム。私のすべては、この杖を手にしたときに決まった。

かつての聖戦、先の聖戦、そのふたつには意味があった。すべてを経たからこそ、イマのこの戦いが存在している。ふたり並んだファティマとヴィヴィアン。敵対していたはずのふたりは、かの王たちのように、互いに手を取り合っていたのだった。

終わらない争い、倒れ行く体。ただその様子を見守ることしか出来ないヒカリとユカリ。あの子たちに、格好悪い姿は見せられないよ。活気付くヴィヴィアンとファティマ。だが、それでもなお、リリンの体に傷ひとつつけることは出来ないのだった。

ねぇ、ちょっと息があがってるんじゃないの。そう挑発したのはファティマ。そっちこそ、疲れが見えているわよ。そう返したヴィヴィアン。それはふたりが交わした冗談。そして真実。そう、ふたりの体力はもう残り僅かだった。もう、キメないと。

だが、そんな想いだけでどうにかなる相手ではなかった。知っているよ、私たちはあなたに比べたら無力かもしれない。私も知ってるよ、そんなあなたに対抗することが出来るかもしれない力を。いや、かならず対抗出来ると信じてる。そう、彼らなら。

そして、ヒカリとユカリのすぐ側を走り抜けた人影。その正体はデオンだった。お待たせしました。ふふ、やっと来てくれたのね。顔を合わせ、笑顔を浮かべたふたり。それじゃあ、私たちの最後にしましょう。うん、あとは彼らを信じ抜きましょう。

ファティマ、ヴィヴィアン、杖と輪刃に込めた想い。どうか、届いて。放たれた力がかすめたリリンの頬。血を見たのは幾億年ぶりだろうか。褒美に、私から終をくれてやろう。貫かれたふたりの体。かけよるデオン。あなたたちは立派に戦いました。

聖人って、死んだらどうなるんだろう。

扉の先へ:始祖

相手を失ったリリンの見つめた先にいたのはヒカリとユカリ。ふたりはすかさず臨戦態勢へ。だが、そんなふたりの隣、リリンへと伸びたふたつの影。うちの女王様たちに、手出ししないでもらえねぇか。あぁ、俺の娘たちには指一本触れさせやしない。

一つ目の影、ヴラド。あなたはもう、まともに戦える体じゃない。止めようとするユカリ。みんなが血を流してんのに、戦わない王がどこにいるんだ。ヴラドはそう答えた。それに、戦うのに必要なのは体じゃねぇ、必要なのは覚悟だ。……なぁ、親友。

そう、だから俺たちはここにいる。二つ目の影、オベロン。ヒカリは知っていた。もし、綴られしオベロンの命が果てたとき、なにが起こるかを。駄目だよ、戦ったりしたら。そんなヒカリへオベロンが返した言葉。約束するよ、俺は死んだりしない。

だからオレたちを信じて、オマエらは先へ進め。促したヴラド。うなずくオベロン。勝手に死んだら許さないわ。約束破ったら許さないよ。そして、ふたりの女王はその場を後にした。嘘が下手だな、オマエは。大丈夫さ、俺の呪いはもう、彼女らに―。

ねぇー、僕のこと忘れてない? リリンの隣、現れた水聖人ヨハン。なんか厄介なのが出てきたな。ヴラドがついた溜息。ってことで、アイツはオマエらに任せるか。問いかけた先の更なるふたつの人影。あぁ、任せとけ。ようやく、ワシの出番か。

ヨハンと対峙したふたつの人影。どうも、体がなまって仕方がないんだ。やっぱり俺は、教えるよりも戦場が相応しいみたいでさ。ヨハンへ銃口を突きつけたリイナ。まさか、先生と戦うなんて怖いなぁ。だが、ヨハンはいつも通りのテンションだった。

なんじゃ、コイツは。もうひとつの人影、それはイッテツだった。どうだ、感覚は取り戻したか。知らん。そんなリイナとイッテツ。ふたりは、聖人を相手に怯もうともしなかった。ワシはワシの生活を乱されたくないんじゃ。本気だすのは今回だけだ。

凄いよ、なんだかワクワクするよ。いつにもなく楽しそうな笑顔を浮かべたヨハン。それじゃ、ワトソン君、アレを頂戴。ハーイ、もちろんです。そして渡された謎のフラスコ。それじゃいっくよ、超兆丁跳殺戮型ウィルス・カタストロフィXXXだぁ!

ヨハンがばら撒いた殺戮ウィルス。すごいよね、これ、ほらほら、みんな倒れていくよ。そして魔界は毒の煙に包まれた。よかった、オマエの思考は変わってなかったみたいだな。そう笑ってみせたリイナ。スパジロー、みんなの救助は任せたからな。

そしてリイナとイッテツは、手にしていた注射を静脈へと打ち込む。これで俺たちはいつも通りに戦える。そう、リイナはこうなることを予期していた。っつか、注射は嫌じゃ。イッテツは打つフリをしていた。オマエってやつは死にたいのか馬鹿野郎。

リイナに無理矢理注射を打ち込まれたイッテツ。いつか仕返しするからな! ふたりはヨハンへ一直線に走り出す。肉弾戦とか好きじゃないんだ。僕の代わりに戦ってきてよ。ほら、ヨハン軍団のみんな! 気がつけば、無数の軍勢が生まれていた。

こんなの、聞いてないぞ。無数の軍勢を相手に体力を消耗するイッテツ。いいから、いまは数を減らすんだ。対抗するリイナ。だが、このふたりをしても、減ることのない軍勢。奪われたイッテツの身動き。そして、その危機を救ったのは少女だった。

やっと追いつきました!そう、少女ヒナギクは瞳を輝かせていた。誰だか知らんが、恩に着る。そして、再びイッテツは前線へと。見せてください、師匠の力を。こうして、イッテツとリイナは無数の軍勢を掻き分け、ヨハンの許へ辿り着いたのだった。

リイナがヨハンへと突きつけた銃口。なにか言い残すことはないか。それでもヨハンは楽しそうだった。僕たちの始祖って、とっても強いんだよ。イッテツが突きつけた剣先。それでもヨハンは楽しそうだった。死後の世界って、どうなってるのかな。

そっか、思い出した。僕は一度死んだんだった。それは聖人になる前の話。そして、ヨハンが新たに抱いた好奇心。聖人って、死んだらどうなるんだろう。ドス。転がり落ちた首。水聖人ヨハンもまた、最期のときまで自らの好奇心にだけ貪欲だった。

ありがとな、親友。

扉の先へ:始祖

遂にリリンと対峙したオベロンとヴラド。どうしても、お前たちは私に抗うというのだな。ふたりは頷きもせず、リリンを見つめていた。そして、ふたりはその先のもうひとつの場所を見つめていた。そう、自分たちが歩みだした道の先の死に場所を。

どうやら、オレたちの夢は果たせそうにないな。そんな言葉を口にしたのはヴラドだった。だけど、大丈夫、きっと俺たちの道は続いていく。そんな言葉を口にしたのはオベロンだった。あとのことは、オレらの可愛い女王様たちに任せるとするか。

オベロンが放つ攻撃がいとも簡単に切り裂いたリリンの柔肌。そうか、お前には聖者の血が流れていたのだったな。顔つきの変わるリリン。だとしたら、まずは手始めに貴様から殺してみせよう。そして、リリンの冷たい瞳はヴラドを捉えたのだった。

リリンが放つ衝撃、あえてかわすことなく受け止めてみせたヴラド。ほう、まさか受け止めるとはな。動揺をみせることのないリリン。あぁ、それと受け止めるだけじゃないぜ。そしてヴラドが解放した左腕に宿る竜の力。これでも受けてみろって。

そんなヴラドが放った攻撃も、リリンの柔肌に傷跡を残した。僅かに眉間に皺を寄せたリリン。そうか、そういうことだったのか。そう、ヴラドにもオベロン同様に決定者の血が、かつての聖戦時に与えられた決定者ヴェルンの血が流れていたのだった。

お前たちに決定者の血が流れていようと、私に歯向かえるわけがなかろう。そう、リリンへ攻撃が通りはしても、それが致命傷になることはなかった。少しずつ、削られていくオベロンとヴラドの体力。少しは褒めてやろう。それでこそ、私の息子だと。

なぁ、なんか言い残すことはあるか。ヴラドはオベロンに問う。あぁ、いっぱいあるよ。だから、手紙にしてきたんだ。なら、丁度いい。そして、ヴラドはオベロンから手紙を受け取ると地上のデオンへと投げ飛ばした。なぁ、アイツに届けてくれるか。

あの人、怒るかな。オベロンは少しだけ不安そうだった。あぁ、怒ると思うぜ。不安なのはヴラドも同じだった。最後にもう一回、お酒でも飲みたかった。あぁ、オレも同じだ。ふたりだけに通じる会話。蘇る記憶。笑い合う魔王、妖精王、そして竜神。

オベロンが解放した神の力。ヴラドが解放した竜の力。オレさ、オマエにもうひとつだけ叶えて欲しい夢があるんだ。そして、ヴラドは竜の力でオベロンの身動きを封じた。どうして!? 動けないオベロン。ちゃんと息子のこと、抱きしめてやれよ。

どうせこの体はもう持たない。そして、ひとりリリンの許へと飛び立つヴラド。行かないでくれ!届かない声。ありがとな、親友。オレはオマエがいたから最高の夢がみれた。こうして始祖との戦いは、ひとつの覚悟と引き換えに終焉を迎えたのだった。

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きっと、羨ましかっただけなんだ

思い出を辿れば

扉の先へ:神界へ

ジャンヌと共に神界へ通じる塔へと向かっていたアカネ、アオト、ミドリ、ギンジ。遅れて駆けつけたヒカリとユカリ。さらに遅れて駆けつけたのは悲しい知らせ。感情を押し殺したヒカリとユカリ。それでも私たちは、立ち止まるわけにはいかない。

そう、アカネたちには悲しむ暇すら与えられなかった。少しでも早く、この戦いを終わらせる。それが6人が抱いた共通のひとつの願い。そして、そんなアカネたちが塔に辿り着いたとき、入口にはひとりの男が待っていたのだった。よぉ、こんにちは。

なにしに来たの。眉間に皺を寄せたジャンヌ。そう、待っていた男の正体は六聖人のひとり、ニコラスだった。おいおい、そんなに怖い顔しないでくれよ。おどけてみせるニコラス。オマエたちは、この塔を上るつもりなんだろう。だったら、話は早い。

歩きながらで構わない、俺の話を聞いてくれないか。そして、ニコラスの隣には一匹の獣がいた。よーし、よし、俺たちをアイツのところへ案内してくれるか。思い出を辿れば、アイツに辿りつける。そう、ニコラスのすぐ隣にいたのはタマだった。

ニコラスを警戒しながらも、タマを先頭に塔を上り始めたアカネたち。語り始めたニコラス。昔々、あるところに妖精の王様がいました。その王様は悪い神様に殺されました。そして、その妖精の王様は聖人として生きる使命を与えられたのでした。

あの日の少年の想い

扉の先へ:回想・ニコラス

天界が生まれたとき、世界を治めていた妖精王ニコラス。そして、それは神の掌の上の箱庭。だからこそニコラスが企てた神々への反乱。そして、その反乱はニコラスの死をもって終わりを迎えた。だが、君は聖人として生き、世界の決定に従い続けよ。

そして、天界には代々綴られし王が置かれるようになった。ニコラスは聖人という生き物として、自分の感情を殺して長き刻を生き続けた。何度も崩壊と再生を見届けてきた。だが、いつかニコラスは思った。年に一度でいい。年に一度でいいから―。

―世界中のみんなに幸せになってもらいたい、と。こうして、ニコラスはサンタクローズの仮面をかぶった。いくつもの世界でサンタクローズの仮面をかぶり続けた。世界中のみんなに幸せを届け続けた。いつか終わる世界でも、幸せになって欲しいと。

沢山の子供の寝顔と出会ったニコラス。そして、ある日ニコラスは思い出してしまった。純真無垢な子供たちが持つ無限の可能性と、ひとりの男として子供が欲しいという感情を。やがて出会ったひとりの女。こうして、ニコラスの子供は生まれてきた。

だが、それでもニコラスは聖人という生き物だった。聖人に告げられた世界の決定。禁忌の血を引く子供を廃棄せよ。伝えられるがまま向かった美宮殿。そこで待っていた女と禁忌の子供。ニコラスは子供へ尋ねた。なにか最期に欲しいものはあるか。

だが、子供はなにも答えなかった。答えられなかった。なにかを与えられるという喜びを知らなかったから。だから、ニコラスは尋ねる先を変えた。向かったのはその子供の母親が幽閉されていた間。そして、その日は奇しくも12月23日だった。

現れたニコラス。女が悟ったのは自分の最期。そして、ニコラスは問う。なにかあの子に与えたいものはあるか。そして、女は涙ながらにこう答えた。どうか、あの子に最高のクリスマスプレゼントを。そう、明日は年に一度のクリスマスイブだった。

訪れたクリスマスイブ。廃棄という任と共に、禁忌の子を預けられたニコラス。向かった先は聖夜街の外れ。これが俺からのプレゼントだ。自分の息子が通るであろう道に置かれた禁忌の子。仕組まれていた出会いの答えは、ふたりからの優しさだった。

必然の出会いを果たした禁忌の子であるアーサーと、ニコラスの息子であるサンタクローズ。そして、サンタクローズがついた小さな嘘。やがて肯定される禁忌の命。ニコラスはただ嬉しかった。聖人でありながら、ふたりの子供の父親になれたことが。

だが、幸せはそう長くは続かなかった。禁忌の血が生きているという密告。呼び出されるニコラス。そして、ニコラスへ与えられた罰。それは、二度と子供たちに会ってはならない、というものだった。これも決定か。こうして、ニコラスは姿を消した。

子供たちは知らなかった。なぜニコラスが姿を消したのか。切り取られた家族写真。子供たちは知らなかった。なぜニコラスが決定に従ったのか。すべては子供たちを守るため。そう、ニコラスはすべての事実を抱え、たったひとり姿を消したのだった。

聖人として生きるニコラスの楽しみはひとつ。使徒ドロッセルが集積した子供たちの成長の記録。抱きしめることも、会うことすらも叶わない子供たちの成長の記録。ただ遠くからその成長を見守ることだけが楽しみだった。あぁ、いい大人になれよ。

やがて刻は経ち、ふたりの子供は別々の道を歩き出した。アーサーに届けられた世界評議会への推薦状。どうして、普通に生かしてやれないんだ。怒りを堪えるのに必死なニコラス。だが、そんなニコラスを牽制する決定者たち。君は父じゃなく聖人だ。

やがて、何の因果か、聖なる扉の前で堕ちたアーサー。そんなアーサーを昔からの名前で呼び続けるサンタクローズ。その一部始終を遠く離れた場所から見つめることしか出来なかったニコラス。こんな結末になるくらいだったら。俺はイマの世界を―。

だが、ニコラスが思い留まったのは、最期のときまでアーサーの瞳が真っ直ぐだったから。あぁ、これはアイツが望んだことなのか。子供が自分の足で進んだ未来を、否定する親がいるだろうか。だからニコラスはアーサーを肯定しようとしたのだった。

だが、ニコラスは素直に肯定することは出来なかった。ひとり悩み続けるニコラス。そんなニコラスは堕ちたアーサーを見つめながら、あることに気がついた。そう、アーサーに寄り添っていた一匹の猫に。いつなんどきも、離れることのなかった猫を。

そしてニコラスはひとつの答えに辿り着いた。これがアイツの、本当の想いだったんだな。アルトリウスという名前が、王の道を歩む呪縛であるとしたら、タマという名前は、ただ純粋に「生きたい」と願っていたあの日の少年の想いではないか、と。

タマ

勝手についてきちゃ駄目だよ。そう言いながらも優しく頭を撫でる悪戯な神。だが、言葉を発することのないタマの視線は常に一人の男へと向けられていた。君たちは、似たもの同士なのかもしれない。言葉を発しないもう一人の男。彼のことが気になるのかな。なぜ少女が彼を気にかけるのか、全ては思い出の中だった。

「タマ」は、アーサーがサンタクローズと出会った日の夜、エリザベートから付けてもらった仮の名前です。ちなみにサンタが「アルトリウス」という名前をアーサーにつけたのは、その1年後のお話です。(資料集掲載の小説より)

扉の先へ:回想・ニコラス

辿り着いた答えがもたらした希望。それなら、俺がアイツらにしてやれることはひとつ。ニコラスが下した決断。俺は世界の決定を裏切る。そんなニコラスの気配を察知した決定者たちは、ニコラスへひとつの決定を与えた。サンタクローズを廃棄せよ。

果たされた親子の再会。ニコラスが突きつけた銃口。たまには父親らしくさせてくれよ、だから、オマエにプレゼントだ。鳴り響く銃声。グッドラック。放たれた弾丸がかするサンタクローズの髪。そして、撃ち抜いたのはサンタクローズの背後だった。

悲鳴をあげることなく息絶えたのはサンタクローズの背後にいた神界からの使者。どういうことだよ。戸惑うサンタクローズ。たったいまをもって、オマエは俺に殺された。そう、オマエは「死んだ」んだ。そして、提出されたのは偽りの報告書だった。

神界への道

扉の先へ:神界へ

やがて辿り着いた最上階。それじゃあ、アンタは。言葉を詰まらせたジャンヌ。だから、俺はあのとき言ってたろ。裏切ったりなんかしないって。対するは流暢なニコラス。そして続けられた言葉。そうさ、俺はずっと昔から、裏切っていたんだから。

伝えられた真実と、アーサーの想い。そうだよ、あいつは生きたかったんだ。そんな自分の想いを押し出してまで、なにが新しい世界だよ。そんなの、俺たちは望んじゃいないんだ。いつかは笑い合えるよ。だから、辛いことがあってもいいじゃないか。

だったら、その想いを早くアイツに教えてやろうぜ。答えるニコラス。だが、神界への道は閉ざされていた。でも、これはどうしたものかしら。困り果てるジャンヌ。そんなアカネたちの許に現れた6人の神々。そんな道なら、俺たちが創ってやるよ。

そう、現れた6人の獣神たちが力を合わせて創った神界への道。俺たちだって、これでも神様なんだ。それは常界での戦いで離れることの出来ないヤシロからの願いだった。だが、気をつけて進めよ。こっから先は、悪意や憎悪が渦巻いているんだから。

だとしたら、私たちの出番ですね。ときを同じく、現れた6羽の花獣たち。その悪意を、私たちが塗りつぶしてみせましょう。それは彼女らだからこそ、成せる業。だから、行ってください。あなたたちは、イマを生きるすべての命の希望なのですから。

神界への道を真っ直ぐ走り出したアカネたち。だが、その道は簡単なものではなかった。塗りつぶしきることの出来なかった憎悪たちがアカネたちを襲う。ねぇ、この憎悪の正体って。そう、襲いかかる憎悪の正体にいち早く気づいたのはアオトだった。

なんだか、みんな悲しそう。そう口にしたミドリ。気づいたと思うけど、この憎悪は犠牲になった過去の世界の命よ。神々によって犠牲にされた無数の命。その上に、神界は成り立っているんだから。そして、それはもうひとつの意味を持っていた。

そんなの、悲しすぎるよ。そうこぼしたヒカリ。そう、この憎悪が持っていたもうひとつの意味。そう、俺たちは生まれ変わり続けた世界を否定して、イマの世界を肯定しようとしている。それは即ち、未来への礎となった過去の世界への否定だった。

神界に辿り着くには、すべての憎悪を切り捨てなければいけない。だけど、この散っていった命に罪はないのね。そんなユカリの言葉には戸惑いが隠れていた。せめて、私たちからだけでも、彼らにオヤスミを。もう、泣かないで、苦しまなくていいの。

もし死んだらさ、俺は何にもかも無くなるのかと思ってた。だからこそギンジは思った。俺たちが、無に帰してやろうぜ。きっとそれは安らかな終わり。そのぐらいのことなら、俺たちでもしてやれるはずだ。だから、少しでも早く、一歩でも、前へ。

ひとつひとつ、憎悪に与えられる終わり。それと、俺たちに出来るもうひとつのことがある。アカネが口にした決意。だったらさ、俺たちはコイツらの分まで精一杯生きればいいんだ。胸を張って生きればいいんだ。それが、イマを生きる俺たちだから。

だが、そんなアカネたちが歩みを止めたのは、目の前に新たな人影が現れたからだった。いや、それは人影と呼ぶにはあまりにも大きな翼を持っていた。そう、目の前に現れたのは、一度は封印されたはずの扉の君だった。これは絶体絶命、ってやつね。

一度は倒したはずの扉の君。だが、アカネたちが立ち止まってしまったのは、無数の憎悪が扉の君に取り込まれていく様を目の当たりにしたから。私には名前すら与えられなかった。そう、私は聖なる扉のたった一部。私に名前など、必要ないのだ。

扉の君を前に、身動きのとれないアカネたち。そして、そんなアカネたちの背後から近づく足音。そこまでだ。現れたのはフォルテ、グライフを従えたダンテだった。一番の頭でっかちがやってきちゃったわね。貴様たちは、なぜ世界の決定を裏切った。

裏切りの連鎖

扉の先へ:神界へ

ダンテが問いかけた先のふたりの聖人。いいや、愚問だったか。ならば、俺がすることはひとつ。そして、ダンテが構えたレイピア。そして次の瞬間、ダンテの首筋に突きつけられたグライフの爪。貴様は俺に、第四の選択肢を与えてしまったんだ。

グライフがダンテから与えられた任務。一つ、王の象徴であること。二つ、神の翼になること。三つ、黄金を守ること。一つ目と二つ目、それは王都ティンタジェルで王から神へと変わるアーサーを見届けることだった。そして、三つ目の黄金の意味―。

―それは、やがて王となるクロウリーの力となること。そう、最初は二択の三択だった。だが、違った。ダンテ、貴様は初めから、裏切るつもりだったんだろう。そう、一択の三択だったんだ。だから俺は、第四の選択をした。俺が貴様を裏切るという。

一瞬の隙をつき、グライフの爪を弾いたフォルテ。俺はアンタがどういうつもりか知らないし、聞かされたこともねぇよ。そのフォルテの言葉はダンテへ。だけど、俺はアンタだからついてきたんだ。だから、アンタの思うように、好きにやってくれよ。

ダンテの真意を知り、頭を抱えてしまったジャンヌ。だったら、なんで最初から言わないのよ。そして、その問いにレイピアで答えたダンテ。俺の奏でが道を開く。引き裂かれた空間、そこに生まれたのはかつてダンテが通った聖神へ通じる裏口だった。

さぁ、早く進め。裏口へ飛び込むアカネたち。行かせるか。すかさず飛びかかるグライフ。だから、邪魔すんなって。そんなグライフへと殴りかかるフォルテ。あとは、頼んだ。優しいダンテの微笑み。そして、ダンテはその裏口を閉じてみせたのだった。

クロウリーが常界の王へと即位する裏で、かつてダンテは一度アーサーに会いに行っていました。その時に通った裏口は、グライフが神へと変わるアーサーを見届け、そして翼となって神界へと付き従ったことで開けたものでした。

残されたのは扉の君、グライフ、そして、ダンテとフォルテだった。聞かせてもらおうか、なぜ裏切ったかを。それはダンテからグライフへの問い。そして、グライフは答える。どうして俺がセカンドとして完成したか。俺には完全な神格が与えられた。

グライフの目じりに浮かんでいたのは、勝者である神々の力。そうか、どうやら俺が見誤っていたようだな。そう、グライフはダンテに従いながらも、神々の意思に支配されていたのだった。だとしたら、俺がここで貴様を始末しなければなるまい。

ダンテがアーサーに会いに行ったとき、グライフは既に「一択の三択だった」(ダンテが世界の決定を裏切る)ことに気付いていました。グライフはダンテに従ってはいましたが、もともと神側(世界の決定側)の立場であり、このタイミングでダンテを裏切ったのでした。

いいや、それは違う。新たに響いた声。アイツを討つのはオレだ。そう、更に現れたのはすでにその半身が蝕まれていたグリュプスだった。出来損ないが、死に場所を求めてやってきたか。こうしてまた、異なる因果も結末への道を辿り始めるのだった。

グライフと対峙したグリュプス。そして、無数の憎悪を取り込んだ扉の君と対峙したダンテとフォルテ。そして、フォルテは言う。なぁ、やっぱり最後に教えてくんないかな。無言のままのダンテ。俺さ、やっぱり知っておきたいんだ。アンタのこと。

アンタがいままで、なにを見てきたのか。なにを考えていたのか。どんな想いだったのか。それを俺に教えてくれよ。フォルテは純粋だった。そして、ダンテは答える。無事に生き残れたら教えてやろう。あぁ、男の約束だ。こうして戦いの幕は上がる。

セカンドの悲しみ

扉の先へ:神界へ

神に選ばれた獣と、神に捨てられた獣。俺が正しいということを、その身をもって教えてやろう。翼を広げたグライフは、一直線にグリュプスの許へ。そして、その体ごと地面へと叩き潰されるグリュプス。なにが正しいか、オマエが決める話じゃない。

咆哮と共にグライフを押しのけたグリュプス。あぁ、オレは失敗作かもしれない。いいや、失敗作だ。そう、刻一刻と蝕まれるグリュプスの体。オレのこの悲しみは、オマエにはわからないだろうなぁ。そして、悲しみこそが、グリュプスの秘策だった。

口答えをするな。そう、グリュプスの翼をもぐなど、グライフにとっては造作もなかった。だが、次の瞬間、赤黒い翼が生まれた。続いてもがれた腕。だが、次の瞬間、赤黒い腕が生まれた。そしてグリュプスは笑う。ここがどこだか、忘れたのか。

そう、もがれたグリュプスの体を補っていたのは無数の憎悪たち。ここのみんなは、どうやらオレの悲しみに気づいたようだ。そして、グライフの顔は歪み始める。きっと、オレはこのまま飲み込まれるだろう。だが、それはそれで幸せってもんだ。

失敗作のグリュプスを理解者として認めた憎悪たち。教えてやるよ、セカンドの悲しみを。化け物と化したグリュプス、その圧倒的な力に飲み込まれたグライフ。終わる戦い。色々、ありがとな。そしてグリュプスは自らの生に終わりを与えたのだった。

最高の二重奏

扉の先へ:神界へ

憎悪を取り込んだ扉の君。ダンテの合図を待たずして飛び掛ったフォルテ。だが、いくらフォルテが実力者であれ、いまの扉の君は人間が敵うような相手ではなかった。だからこそ、フォルテが語りだした自分のこと。俺、明日が誕生日だったんだよね。

ダンテの手を煩わせまいと、すべての攻撃をその身で受け続けるフォルテ。俺の26年間、結構楽しかったな。そしてフォルテは願う。どうせ死ぬのなら、あと1日生きたかった。常界のポップスター、27歳で死去。俺は歴史に名を残せるのにさ。

フォルテの右腕の炎は消えかかっていた。刹那、フォルテを襲う闇の波動。そんな簡単に諦める男を、俺は使徒に選んだ覚えはない。波動とフォルテの間、割って入ったのはダンテ。共に奏でよう、俺たちの狂想曲を。教えてやろう、最高の二重奏を。

ダンテが振るうレイピアは、まるで指揮棒のよう。勢いを取り戻したフォルテ。そしてレイピアを振るうたびに、一音、一節ずつ変わり始める戦況。壊れるトリオと壊れる光の翼と闇の翼。そうだ、叩き込んでやれ。フォルテの炎拳は、残された本体へ。

消えていく扉の君。横たわったふたり。約束、覚えているか。問うフォルテ。なんの話だ。誤魔化すダンテ。だが、しばらくしてダンテは言葉を続けた。俺はきっと、羨ましかっただけなんだ。天国でも地獄でもない、イマを自由に生きるアイツらが。

ダンテの元ネタである詩人の代表作「神曲」は、地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部作となっています。このうち煉獄篇は、死者が罪を償う場所であり、ある意味「イマ」に一番近いのかもしれません。

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竜兄妹

扉の先へ:竜兄妹

研究所をあとにし、常界に訪れるであろう因縁へとの戦いに向かったヒスイとリヴィア。そして、そんなふたりの目の前に現れた少女。丁度いい、そろそろお前に会わなきゃと思っていたんだ。そして、ヒスイは目の前の少女、シオンへ棍を向けた。

兄さん、どういうつもりなの。妹であるシオンへと向けられた棍を前に、驚きを隠すことの出来ないリヴィア。いや、これでいいんだ。多くを語ろうとはしないヒスイ。そして、武器を構えることのないシオン。お兄様、どうして、なぜなのでしょうか。

なぜ自分に棍が向けられているのか、理解出来ないのはシオンも同じだった。どうしてって、そんなの答えは簡単だ。お前は聖人であり、世界の決定に従う。そして、俺はその決定に背いている。だからこそ、俺たちが戦うことになるのは必然だろう。

そっちがその気じゃないのなら、こっちから始めさせてもらうぜ。ヒスイは目にも留まらぬスピードでシオンへ距離を詰める。そして、シオンが咄嗟に起動させたドライバ。そうだ、それでいい。聖人として、俺を止めればいいんだ。全力で来いよ。

刃を交える兄ヒスイと妹シオン、そして止めることなく見つめるリヴィア。なぜ、互いに想い合う兄妹が争わなければいけないのだろうか。やがて、リヴィアが気づいた戦いの意味。だから、兄さんは。そう、この戦いには確かな意味が存在していた。

強くなったじゃん。シオンの鍵爪を受け止めたヒスイは嬉しそうだった。だったら、こっちも本気出さなきゃ失礼だよな。シオンを襲うのは多節に別れた棍。どうしてなんですか、お兄様。それでもなお、シオンはこの戦いを認めようとはしなかった。

お前は初めから生贄だったんだよ。ヒスイの告白。俺は俺のやりたいようにやる。そのためには、ウチから聖人を出す必要があった。だから、お前に生贄になってもらったんだ。その言葉に、思わず笑みを浮かべたシオン。お兄様は、嘘が下手ですね。

だが、その下手な嘘はシオンに戦う決意をさせるには十分だった。お兄様がそこまでして、私と戦うというのであれば、私は全力で戦わせてもらいます。そうだ、それでいい。再び交わる刃。ふたりは全力で戦いながらも、どこか楽しそうにみえた。

聖人と竜神の力のぶつかり合い、それはふたりが互いに集中していなければ、常界に多大なる被害をもたらしていただろう。だが、互いを想いやるふたりには、互いの姿しか瞳に映りはしない。さぁ、これで終わりだ。先に膝をついたのはシオンだった。

じゃあな。シオンを労ることなく去るヒスイ。シオンへ駆け寄るリヴィア。明かされる真意。闇聖人は裏切ることなく、世界の決定に従った。もし僕たちが決定者に敗れても、君は罪に問われない。そう、どう転んでも、兄さんは君を守りたかったんだ。

シオンがヒスイに味方して「世界の決定を裏切る」ことになると、きっとシオンは罪に問われ、殺されてしまいます。ヒスイは敢えてシオンと戦うことで、シオンが負けても「最後まで聖人として戦い、負けた」という形を作ろうとしたのでした。

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この僕が――

扉の先へ:教団

もう、僕たちの出番さ。常界に降り立ったメイザースとティルソン、与えられた神格にのみ生かされる4人の新魔王ならぬ新魔神。この世界に偽りの教祖など要らぬ、偽りの神など要らぬ、偽りの王さえいればいい。対峙したのはクロウリーたちだった。

南魔神アザエル

植えつけられた神格と引き換えに、失われゆく自我。そうだよ、もうすぐ世界は終わるんだ。自我なんか持ってたら、死ぬとき怖いじゃないか。だから、僕が忘れさせてあげるんだ。ほくそ笑んだ終教祖。そして生まれた南魔神アザエル。君は神様なんだよ。神様は、世界を創るべき存在なんだ。さぁ、共に創り直そう。

西魔神エギュン

西魔神エギュン、彼もまた神格と引き換えに自我を失っていた。だが、神格を得ることと、自我を失うことはイコールではない。自我を失う、いや、自我を奪うという選択をしたのは終教祖だった。僕以外に、存在価値なんてないんだから。また、ご冗談を。相槌を打った執拗竜。だが、終教祖の目は笑っていなかった。

東魔神サマエル

本当は笑いたかったのかもしれない。叶わない現実。本当は生きたかったのかもしれない。叶えられない現実。本当は、本当は、本当は。だが、終教祖により抑え込まれた本当。そう、嘘を突き通せば、それは本当になるんだよ。だから、東魔神サマエル、君は嘘を突き通してよ。ただ世界を壊したいという嘘を。

北魔神マハザエル

僕は君たちに約束しよう。終教祖が差し出した掌。必ず、新しい世界を創ってみせると。その約束は、終教祖の心からの想いだった。だが、その約束には犠牲が必要とされた。ねぇ、北魔神マハザエル。君に新しい世界を創ると約束したけどさ、新しい世界に連れて行くとは言ってないよ。可愛い可愛い、ボクの僕ちゃん。

私は約束したんです

アザエルと対峙したパイモン。私たちの王に、指一本触れさせやしない。広げた扇と共に、アザエルへと飛び掛るパイモン。だが、アザエルはほんの僅かな動きで、その攻撃をかわしてみせた。そう、それは植え付けられた神格がなせる動きだった。

パイモンを包み込むアザエルの炎。貴様のこれが、神が与えた力だというのなら、世界を滅ぼす力だというのなら。奪われるパイモンの体力。だが、それでも耐えてみせたパイモン。私の炎は、あの人のために、イマの世界を守るためにある力なんだ。

貴様は主から神の力を与えられたかもしれない。だが、私たちは主からそれ以上のものを与えられた。そう、私がいまここにいられるのは、あの人がいるからなんだ。異なる主を持ち、違う道を選んだふたりの旧魔王。さぁ、雌雄を決するとしようか。

燃え上がり、やがては消える炎。そう、アザエルの炎は消えた。そして、ときを同じくしてパイモンの炎も消えた。それでも、パイモンは決して倒れなかった。私は約束したんです。ずっと一緒にいるって。その言葉が、パイモンを生かしたのだった。

最高の現世は終わらない

アリトンの刀が斬り裂くのは、エギュンから伸びた無数の触手。だが、いくら触手を斬り捨てようと、その触手は無限に生まれていた。これじゃあ、きりがない。対するエギュンは、ただ不敵な笑みを浮かばせていた。そっか、僕はここまでなんだね。

アリトンが決めた覚悟。そして、アリトンは自身に残された力をすべて解放し、纏ったのは大きな水竜。君ごと、すべてを飲み込もう。そして、ともに帰ろう。母なる海へと。悪くないよ、こんな終わりも。僕は僕なりに、楽しい人生を過ごせたんだ。

ハハハ、ハハハハハ。狂気を纏ったアリトン。そうだよ、僕は悪魔だ。この世界に、僕は必要ないんだ。そして、水竜を纏いしアリトンは空を泳いだ。次の瞬間、鳴り響く竜の咆哮。エギュンを飲み込みながら、水竜は地上の果てへ、母なる海へと。

そうさ、これでよかったんだ。海へと沈んだアリトン。その瞳に捉えたエギュンの最期。そして、アリトンは海の底へと沈み続ける。そう、アリトンにはもう這い上がる力は残されていなかった。だが、沈みゆくアリトンは、ある言葉を思い出していた。

違う、これじゃダメだ。そう、最高の現世は終わらない。イマの世界を僕たちは生きなきゃいけない。アリトンを生かしたのもまた、心に住まう散った少女の想い。そんなアリトンの体を優しく抱きかかえ、海から救出したのはサミダレ:グスクだった。

いつかまた4人で

すでに始まっていたオリエンスとサマエルの死闘。けひひ。ケヒヒ。互いに発する狂気の風。その風が切り裂く身体。ねぇ、あんたらは神の力を得て、それで幸せなの。問うオリエンス。だから私は、そこがあんたらの居場所なのかって聞いてんのよ!

サマエルは問に答えることなく、ただ狂気の風を発し続ける。いくらオリエンスとはいえ、神格を植え付けられたサマエルを相手に、無事ではいられない。奪われた両足の自由。空からの攻撃を受け続けるしかないオリエンス。もし、私に翼があったら。

それなら、貸してもらえばいいよ。そんな言葉とともに、オリエンスとサマエルの間に割って入ったニミュエ。先生!?久しぶりの再会。あのとき、私は君たちを救えなかった。だから、イマくらいは先生をさせて。ほら、お友達を助けてきたんだから。

オリエンスが振り返る間もなく、オリエンスの身体は上空へ。翼くらいになら、私にだってなれるわよ。そう、オリエンスの身体を抱え、空を飛んでいたのは先の戦いで傷ついたラプラスだった。さぁ、みせてあげてよ、あなたの狂気を孕んだ風を。

友達だったふたりの少女。別たれた道。ふたりが果たした再会。気持ちいいわね。風をかきわけ、空を飛ぶ。いつかさ、また4人で遊ぼう。交した約束。それじゃあ、さっさと殺ってやろうじゃん、けひひ。こうして、新旧東魔王の戦いは幕を閉じた。

必死にあがいて生きるんだ

それがオマエの忠誠だってんなら、俺が正面から受けてやるよ。マハザエルと対峙したアマイモン。響き渡る獣の唸り声と無数の銃声。いつになく振られる尻尾。なんで俺、こんなに興奮しているんだろうな。そう、それはただの興奮ではなかった。

そっか、わかったよ。アマイモンは気がついた。その尻尾が興奮だけではなく、近づく死の恐怖からきていることに。怖くねぇよ、恐くねぇ!必死に奮い立たせる心。そうさ、俺の命はあいつが拾ってくれた。だから、あいつに捧げるのが筋ってやつだ。

やがて、鳴り響く音は獣の唸り声だけへ。ここにきて、弾切れなんてな。マハザエルの攻撃を受け続けるしかないアマイモン。いいさ、俺が盾になる。あいつには、一歩も近づかせねぇ。だが、否定される言葉。それが本当に、聖常王の想いなのか。

俺の主は、俺を信じて送り出してくれた。そう、アマイモンの言葉を否定したのはエジィ。そして、ひとつだけ命令されたよ、絶対に死ぬんじゃない、ってさ。いつかの路地裏での別れは、戦場での再会へ。だから、共に生きよう。そう、俺が力になる。

重火器も似合うが、こっちのほうも似合ってた。エジィが手渡したナイフ。そんなナイフを手にしたアマイモンは、重火器を捨てた。懐かしいな、あの路地裏の日々が。俺たちは必死にあがいて生きるんだ、イマの世界で幸せを掴む。レッツ、ハッピー。

ジャンヌの使徒であるエジィは、もともとアマイモンと同じ路地裏の出身でした。

僕は神なんだ

これを頼む。クロウリーが手にしていた聖剣の鞘。そして、その鞘を受け取ったモルガン。そう、クロウリーの体内の鞘は取り出されていた。よくも、アタシを信じる気になったわね。えぇ、姉のあなただからこそ、彼の最後の決断を見たいでしょう。

鞘を託したクロウリー。そして対峙したメイザース。ボクの可愛い僕たち、みーんなやられちゃったみたいだけど、君のところも、みーんな瀕死みたいだよ。そう、戦力として残されていたのはクロウリーただひとり。君ひとりで、なにが出来るかな。

始まった新旧教祖の戦い。君は邪魔しないで見ていてよ。仰せのままに。すぐ近くで待機を続けるティルソン。それじゃあ、僕からいかせてもらうよ。メイザースの背後に現れたソロモン:フェイクキング。そうさ、僕は王でも教祖でもない、神なんだ。

対するクロウリーの周囲、浮かんだのは無数の瞳。これを使うのも、きっと今日で最後だな。かつて、ふたりが見つめていた完全世界。そして、その先にふたりが見つめたのは、終わる世界とイマの世界。この一撃、すべてをかける。さぁ、共に散ろう。

クロウリーの周囲の瞳が放つ無数の光。そして、その光が止んだとき、メイザースの目の前にいたのは背の高い人影。な、なぜでしょうか。盾になってもらっただけさ。そん…な……。そう、メイザースはティルソンを盾に、すべてを防いだのだった。

貴様は従者すらも道具だというのか。怒りを抑えることの出来ないクロウリー。すでに横たわり、息絶えていたティルソン。従者?なにそれ?知らないね、僕の計画の道具に、そんな名前は与えられてないよ。浮かべた笑い。それじゃ、次は僕の番かな。

ねぇ、痛いかな。痛いよね。いたぶられ続けるクロウリーの身体。君のことは、時間をかけて、たっぷり可愛がって殺してあげるからね。折れる右腕。誰も助けに来ないよ。そうさ、君はあとは死ぬだけだよ。黄金の夜明けなんて、なかったんだから。

さぁ、罰を受けよ。

女を痛めつけるなんて、随分と悪趣味な小悪党じゃねぇか。クロウリーの許、助けに現れたのは裏古竜衆を引き連れたヴェルンだった。どうも、元決定者さん。そう、決定者を裏切ったヴェルンを前に、ひるむことのないメイザース。君はもう、過去さ。

自信に満ちたメイザースへと、我先に攻撃を仕掛けたファブラ。だが、そのファブラの攻撃をいとも簡単に弾いてみせたメイザース。いまの僕は、決定者にも等しい力を得た。だから、君たちごときが僕にかなうはずはないんだ。そうさ、遊んであげる。

ファブラに続き、攻撃を仕掛けたのはウロアスだった。我らが紅煉帝は決定者を裏切った。だが、それは紅煉帝が竜界の民を想ってのこと。だが、貴様は竜界を裏切り、神へと加担した。我々は、貴様のことを許すことは出来ぬ。さぁ、罰を受けよ。

扉の先へ:創竜衆

ニズルの指揮の下、ファブラとウロアスは休まず攻撃をし続ける。それでも傷ひとつつけることの出来ないメイザースの身体。こいつは、予定外だったな。だが、それでもふたりの攻撃を止めなかったのは、ヴェルンがふたりを信じていたからだった。

無傷のメイザースと、傷の増えるファブラとウロアス。それじゃあ、そろそろ君たちには死んでもらおうかな。拘束されたふたりの身体。思わず動き出したヴェルン。そして、そんなヴェルンを追い越したふたつの影。俺は左へ行く、お前は右を頼んだ。

塵ひとつ残すんじゃねぇーぞ

まもなくして解放されたふたり。そして、そんなふたりを助けたのもまた、ふたりの竜だった。まさか、君に助けられるなんてな。ファブラの言葉はリヴィアへ。かたじけない。ウロアスはヒスイへ。そう、窮地を救ったのはリヴィアとヒスイだった。

雑魚が何人増えようと、僕にはかなわないんだから。依然、余裕をみせつづけるメイザース。対するは6人の竜。さぁ、いまは俺たちを使ってくれ。ヒスイはヴェルンへと投げかける。あぁ、じゃあ遠慮はしないぜ。そうさ、俺たちの本気をみせてやる。

そして、ヴェルンは左手を天高く掲げる。裏も表も関係ねぇ。俺たちは古に生まれ、そしてイマを生きる。そうさ、創竜衆だ。そしてヴェルンの左手が地面を叩きつけるのを合図に、一斉に飛び掛る5人の竜。塵ひとつ残すんじゃねぇーぞ、殲滅だ。

ファブラが狙ったのは、メイザースではなく、その背後に浮かんでいたソロモン:フェイクキング。わかってんだろうな。問いかけた先はリヴィア。言われなくても、そうするつもりさ。そう、ふたりは言葉で指示されなくとも、戦術を理解していた。

続いてリヴィアが狙ったのも、メイザースの背後のドライバ。ヴェルンが起した大きな揺れ。その揺れに乗ったふたりが奪ったのはメイザースの一瞬の動き。そして、すかさずメイザースに弾かれたふたり。いいんだ、僕たちはこれで。あぁ、上出来だ。

ふたりが作った一瞬の隙。その隙をつき、すかさず棍棒を打ち込んだウロアス。我が命は、紅煉帝の心と共にあり。そう、その決死の攻撃が稼いだ時間。あとは、任せました。そう、ウロアスたちもまた、ヴェルンのことを心から信じていたのだった。

そして、続いたヒスイが棍を振り回して生んだ風。そんな攻撃、僕に効くとでも思ったのかな。いいや、これは攻撃なんかじゃないさ。そう、ヒスイの風が奪ったのもまた、メイザースの身体の自由。いまだ、早く押さえつけろ。波状攻撃は終わらない。

ヒスイのすぐ後ろ、ニズルは印を結んでいた。そして、ニズルが発した闇の輪が縛り付けたメイザースの身体。だから、こんなものはすぐに解けるんだって。メイザースが壊した拘束。だが、その拘束を壊すまでの時間に、すでに勝敗は決していた。

みんな、ありがとな。全身から昇るのは殺気にも似た湯気。沸騰した、決定者であり最古の竜の血。そう、すべてはヴェルンの一撃の為に。そして、左手を振り上げたヴェルンは一直線にメイザースへと。これが俺様たちから、裏切り者への制裁だッ!

そ、そんな、この僕が……。ヴェルンの紅煉を纏いし左手が貫いていたメイザースの身体。引き抜かれた左手。同時に燃え上がるメイザースの身体。幕が下ろされたかつての神竜戦争の因縁。同時に、ひとつの教団は本当の最後を迎えたのだった。

こいつだけは俺が

あー、疲れた。両手を広げ、そのまま地面へと倒れたヴェルン。そして、地面に倒れていたのはウロアス、ファブラ、リヴィアも同じだった。ヴェルンへと歩み寄るクロウリー。ありがとう、助かったよ。そう、交されていた密約は果たされたのだった。

俺たちは俺たちのやりたいように、ただ俺たちがすべきことをしただけだ。そう返したヴェルン。だが、俺たちはここまでみたいだな。未だ息の整わないヴェルン。決定者にも等しい存在との戦いで、ヴェルンはすべての力を出し切っていたのだった。

ってことだ、あとは頼むな。ヴェルンはヒスイへと声をかけた。そして、ヒスイはその言葉の意味を瞬時に理解した。そう、ヒスイが理解したのは、目の前に新たな光が降り立っていたから。こいつだけは俺がなんとかしなきゃならない。あぁ、そうさ。

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イマの世界と引き換えに

扉の先へ:始祖

降り立った光の正体はリリンだった。次はこの世界に絶望を与えようか。まさか、あいつらが負けたとか言わねぇよな。震えが収まらないヒスイの肩。嘘だよな、嘘だよな、嘘だよな。そして、込み上げた悲しみは怒りへと。だったら、俺が終わらせる。

力任せに棍を振るうヒスイ。何度リリンに弾かれようと、リリンへ立ち向かい続けるヒスイ。怒り、悲しみ、憎しみ。だが、そんなヒスイを我に返した言葉。オマエはひとりじゃない。いつもありがとう。そう、ヒスイの後ろから聞こえたふたりの声。

ヒスイの左側、立っていたのはヴラド。部下どもが、オレに生きろ生きろって、うるさくてさ。そう、魔界での死闘、ヴラドの決死の特攻を制止していたのはファティマだった。それに、オレはいつまでも助けられる側じゃイヤなんだ。なぁ、親友。

ヒスイの右側、立っていたのはオベロン。君がいたから、俺たちはここにいられる。だから、最後は共に並ぼう。俺たちは3人でひとつなんだよ。かけられた言葉。お前ら、やっぱり最高だよ。そして、始祖との戦いは常界へと場所を移し、再開された。

リリンに対して、3人横に並んだヴラド、ヒスイ、オベロン。場所は常界であれ、そこには各世界の希望が集まっていた。俺たちが3人揃えば、怖いもんはない。あぁ、そうだな。うん、そうだね。共に選ぼう、決して終わらせやしない、イマの世界を。

そして、天界、魔界の全勢力の戦いは無駄ではなかった。すでに創魔魂、創精魂を失っていたリリン。アイツらは、立派に仕事をしてくれた。そう褒め称えたヴラド。ありがとう、みんな。感謝を口にしたオベロン。だから、今度こそ決着をつけよう。

ここまでの働きとは、予想外だったよ。少し喜びをみせたリリン。そう、私は望んでいたのかもしれないな。その言葉は誰にも届かない。だがそれは、確かにリリンの口からこぼれた真実。始祖である彼女は、いったいなにを望んでいたのだろうか。

再び決定者の竜の血を解放したヴラド。そして、共に決定者の神の血を解放したオベロン。続いて、ヒスイが解放したのはかつて神界統一戦争の敗者となった世界を統べていた天空神の血。そう、3人が合わせた力は、決定者ひとり分の力を超えていた。

最初の攻撃を放ったのはオベロンだった。その手に集められた光の力。そして、その予想外の行動に、思わず笑みを浮かべてしまったヴラドとヒスイ。オレたちも、負けてらんねぇな。変色したヴラドの左腕。そして、まるで竜のように踊るヒスイの棍。

次々にリリンへと放たれる攻撃。そして、その攻撃をかわすことなく、一撃、一撃と丁寧にその体ひとつで受け止めたリリン。そして、リリンは確信した。この痛みこそが自分の生まれた存在理由だったと。私は嬉しい、嬉しいよ。もっと、全力でこい。

激化する戦い。交わされない言葉。だが、それでも交わされていた想い。神々が創る未来に、意味はあるのだろうか。たとえ、神々が創らずとも、世界は廻り続ける。その選択をするのは、私たちじゃなかった。そう、選択するのは彼らだったんだ。

それじゃ、オレから先に行ってくるわ。ヴラドが決めた二度目の覚悟。だから、コイツのこと頼むな。ヴラドがヒスイへ向けた言葉。ヒスイはヴラドの言葉の意味に気づいていた。そして、ヴラドを止めはしなかった。それが、お前の決めた道なんだな。

オレの身に宿る竜の血よ、オレにあの日と同じ「守る」力を与えてくれ。そう、ヴラドが選んだ「守る」べきイマの世界。そして、覚悟を込めた一撃。すかさず、後を追うオベロン。ううん、ひとりじゃ行かせない。共に行こう。共に「戦う」力を俺に。

昔々、ふたりの王様がいました。ひとりの王様は「変革なき平穏」を求めました。ひとりの王様は「犠牲の先の革命」を求めました。やがて刻は経ち、ふたりの王様が歩んだひとつの道、それは「イマを生きる者たちへ、終わることないイマの世界を」。

どうして…。立ち尽くしたヒスイ。どうしてなんだよ!返ってこない答え。自らの子らの成長と引き換えに、始祖リリンは最期を迎えた。そして、イマの世界と引き換えに、聖魔王ヴラド、聖精王オベロンは最期を迎えた。なんでだよ、なんでなんだよ!

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僕がケジメをつける番です

俺たちは不確かなイマを生きる

扉の先へ:再戦

聖神への裏道を抜けた先に広がっていた景色、それはかつて聖王の根城とされていたアヴァロンそのものだった。やっぱり、寂しかったんじゃないか。アカネがこぼした言葉。そして、その言葉に応えるかのように現れた仮面の男。いらっしゃいませ。

そう、現れたのはロキだった。聖人のみなさまは、ご退場願えますか。鳴らされた指先。隔離されたニコラスとジャンヌ。それじゃあ、ボクは聖人のみなさまと遊んでくるよ。姿を消したロキ。そして、ロキの代わりに現れたのは北欧神の6人だった。

スルトと対峙したアカネ。下等な人間がいくら足掻こうと、世界の決定は覆らない。訪れるのは、約束された未来だけだ。否定するアカネ。いいや、違う。俺たちは不確かなイマを生きる。約束された未来なんかいらない。俺は、みんなと生きていく。

ふふふ、これで邪魔は入らないわね。アオトを前に、頬を紅潮させたシグルズ。そこをどいて。ただ睨みつけるアオト。僕たちは君たちを相手している場合じゃない。もっと先へ、イマの世界を進んでいかなきゃいけない。僕たちの足で歩いていくんだ。

私はあなたを憎んでいた。ヘズを見つめたミドリ。だけどね、憎しみはなにも生まないんだよ。私は過去を憎むことよりも、イマを一生懸命生きていきたい。私が出会ったみんなの、大切を守りたい。そう、私はみんなと生きる、イマを守りたいんだ。

ちょっとぶりだね。ヒカリと対峙し、嬉しそうなオーディン。でも、遊んでいる暇はないかな。構えられた槍。私も遊んでいる暇はないの。対するヒカリ。確かにイマの世界は完璧じゃないよ。でもね、それでも私は、イマの世界を愛してるんだから。

あら、いったいどうしたの。ヘグニは不思議だった。そう、それは再会を果たしたユカリの表情が以前とは違っていたから。そう、憎しみではなく、希望を宿していたユカリ。私は約束をした。私は過去に生きるんじゃない、私は私のイマを生きるって。

ねぇ、いま統合世界は大変なことになってるみたいだよ。ギンジへと語りかけるヘルヴォル。だから、どうした。決して動揺することのないギンジ。俺は、みんなに支えられてここまで来た。だから、俺は統合世界のみんなを信じる。それだけの話だ。

北欧神と対峙したアカネたち。そして、開いていた裏口から遅れて現れた妖精。これをアンタたちに、って。現れたのはモルガン。なんで、アタシなんかに託したのよ。モルガンがアカネたちに届けたのは聖剣の鞘ではなく、6つのドライバだった。

ありがと、お姉ちゃん。それじゃ、アタシは帰るから。そして、モルガンは裏口へ。そんな裏口ですれ違ったひとりの男は、アカネたちを飛び越え、北欧神の目の前へ。さぁ、北欧神の皆様へ魔法をおみせしましょう。種も仕掛けもない、僕の魔法を!

償いながら、イマの世界を生きるんです

扉の先へ:道化竜

オズが空高く放り投げたシルクハット。そして、次々に現れる炎のシルエット。僕はひとりじゃなかった、そう、昔もイマも。被りなおしたシルクハット、亡き友のクラウンは友情の証し。次は僕がケジメをつける番です。まとめて相手をしましょう。

ありがとう、みんな。そう、ミドリの言葉はオズと共に現れた炎の家族たちへ。君たちは、君たちのすべきことを。そして、僕たちは僕たちのすべきことを。再び走り出したアカネたち。目の前の虚城で待っているであろう聖神。統合世界のイマを―。

行かせないわよ。一番に動き出したのは双剣を構えたシグルズだった。だが、そんなシグルズへと向かったのは、オズの背後から飛び出した炎で創られたトト。そう、オズの家族はここにはいない。だが、オズは家族の想いを連れてきていたのだった。

ねぇ、私のこと覚えているかしら。とでも言いたげなドロシーの炎。そして、その言葉は目の前のヘズへ。かつて、ヘズの槍が貫いたドロシーの体。訪れた再戦。何度でも、貫いてあげる。ヘズは槍を振り回し、そして瞳に捉えた獲物へと刃を向けた。

いつも不機嫌なヘグニが更に不機嫌な顔を見せたのは、目の前のオズが持つ力を気にしていたからだった。かつて、北欧神たちの力を奪ったオズ。それは北欧神たちの力を引き出すドライバが竜から創られていたから。そして、それはいまも変わらない。

ちょっと、やっかいな相手かもしれない。オーディンも状況を理解していた。そう、神により綴られた竜であるオズは、北欧神たちの力へ干渉出来るということを。だけど、せっかく帰ってきたのに、まさかそんな簡単に命を無駄遣いしたりしないよね。

そこに価値を感じるか、それは彼次第ってことだね。ヘルヴォルは襲いくる炎のブリキをいなしながら、オーディンの疑問に答えた。そして、いまの僕たちに言えることはただひとつ。そうさ、さっさと目の前の彼を殺してしまえばいいだけなんだ。

オズへと切りかかるスルト。そして、オズはステッキにも似た炎の剣で受け止める。僕は沢山の過ちを犯した。僕の犯した罪は僕が背負う。だから、僕は償いながら、イマの世界を生きるんです。そう、オズは真っ向から立ち向かう覚悟を決めていた。

僕らの魔法

扉の先へ:道化竜

どうかみんな、僕に力を貸してください。オズの背後を守るように集まった5つの家族の炎。そうです、僕はただの道化竜。最後まで、道化を演じさせてもらいます。さぁ、最上級の魔法を。みんながいるから、僕がいるんです。まずはこちらをどうぞ。

天高く掲げた左手、そしてその左手から更に天高く昇るのは真っ赤に燃える火竜。鳴り響く咆哮は、かつて完全なる落日の終焉に鳴り響いた竜の咆哮。そう、その昇りし竜は古竜王だった。あなたはずっと、私の中に生き続ける。共に燃やし尽くそう。

ノアの炎はあたりをたちまち炎の海へ。そこに言葉はなくとも、伝わる想い。終演のときまで、誰ひとり逃げ出すことは許しません。アカネたちを見失った北欧神たちは次々とオズへ刃を向ける。そして、一番最初に飛び出したのはオーディンだった。

その力の正体、確かめさせてもらうよ。オーディンの槍を弾いてみせたオズ。そう、力を持たず生まれたオズが、どうして対等に渡り合えるのか。そして、続く二撃目はヘルヴォルだった。手品っていうのはね、必ず種と仕掛けがあるもんなんだよ。

そんなヘルヴォルの刃さえ弾いてみせたオズ。だから言ったでしょう、種も仕掛けもありません、と。そして、右手から放った炎が貫いたヘズの体。左手からの炎はシグルズの足を貫く。これは僕の力じゃない、だけど、これが僕の役目だったんです。

無力なオズに綴られた物語の結末。解放されたオズの力。世界の終わりに最後まであがく命、それが僕です。次々とオズにより制される北欧神たち。そして、僕はその綴られし運命に従った。だが、それがなにを意味しているのかわかっているのか。

それはスルトからの問い。僕の運命の最後の頁を彼が閉じるまで、僕はあがき続けます。そして、その運命が絶たれることを信じて。そう、だからオズは前だけを向いていた。そして、その力は北欧神の力を凌駕したのだった。これが、僕らの魔法です。

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親子と親子、孫娘と成れの果て

とっておきのプレゼント

扉の先へ:悪戯

すこし、悪戯が過ぎるんじゃないか。ロキの背後、現れたのはシャルラを引き連れたラウフェイ。ごめんね、ママ。口先だけで謝るロキ。そんなロキたちに対するは、ジャンヌ、ニコラス。私は貴様らに問う。自分の命より、なぜこの世界を選んだのだ。

いまさら、その問になんの意味もないわ。ラウフェイへと槍を手に飛び掛ったジャンヌ。ふたりの間に割って入ったシャルラ。そして、そんなシャルラへ銃口を向けたニコラス。次の瞬間、一歩でも動けば誰かの命が失われる。そんな緊張が訪れていた。

そして、そんな緊張を楽しげに眺めていたロキ。ねぇ、誰かボクのこともかまってくれないかな。だったら、オマエに俺からとっておきのプレゼントをやろう。ニコラスがロキへと放り投げた球体型ドライバ。そして、そのドライバから人影は現れる。

俺が道を正してやる

ロキへと飛びかかる人影。真上に振り上げられた釘バット。振り下ろされると同時に起きる爆発。そうだよね、キミのパパは裏切ってたんだ。だとしたら、キミが処分されたという報告も当然偽造されてた、ってことだね。そうだろう、サンタクローズ。

ロキ、俺はアイツを返してもらいに来た。そう、現れたサンタクローズ。返すもなにも、この選択は彼自身が決めたことだよ。そう返したロキ。だとしたら、力ずくでアイツを連れ帰るだけだ。それは本当に、イマのアーサーが望んでいることなのかな。

アイツが望んでいなかったとしたら、俺が道を正してやるだけだ。サンタクローズの周囲に展開される無数のドライバ。そのドライバの群れと共に再びロキへと一直線に飛びかかる。一本、一本、ドライバを壊されながらも、決して攻撃を止めやしない。

ロキはすべての攻撃を防ぎながら、それでいて楽しそうな顔を続けていた。ねぇ、キミは気づいているよね。キミがつけたアルトリウスという名前、それがすべての始まりだったんだ。そう、アーサーを王にしたのはキミだ。神にしたのもキミなんだ。

ロキの言葉を受け、攻撃の手を止めたサンタクローズ。そうさ、俺がアイツの人生を狂わせた。そして、再びサンタクローズはドライバを展開する。だから、もっと狂わせてやる。あぁ、そうさ。俺がアイツを、神様から人間に堕としてやるんだよ。

だが、サンタクローズとロキの間に割って入った新たな人影。それはロプトだった。サンタクローズの攻撃を受け、壊れたロプトの仮面。露になったのは神になれなかった証。どうもありがとう、もうひとりのボク。そして、ボクになれなかったボクよ。

堕愚者ロプト

植えつけられる神格。だが、それは確かなものではなかった。そう、その神格に耐えうる肉体、そして精神。幾度となく、植えつけられては死にゆく人間。そう、私は選ばれた。だが、私は選ばれなかった。堕愚者ロプト、それは悪戯神になれなかった男の成れの果て。だとしても、私は私の存在意義を見出すだけだ。

ロキへの攻撃を、すべてその身で受け止めるロプト。予期せぬ横槍に、苛立ちを隠せないサンタクローズ。だが、次の瞬間、ロプトへと襲いかかったのは無色の炎。この戦い、私にも介入させてもらう。無色の炎の正体は、続いて現れたカナンだった。

悪いが、そっちを任せてもいいか。ええ、構わないわ。私たちの最終目的は同じなのだから。そしてカナンの両手から生まれた無色の渦。その渦から飛び出してきた無色の竜。すべてを喰らい尽くしなさい。無色の竜は目の前のロプトを捉えていた。

迫り来る竜の猛攻をかわすことしか出来ないロプト。そう、ロプトは感じていた。この竜に触れただけで、その身が無に帰されると。だからこそ、カナンへ反撃する一瞬のチャンスを狙っていた。そして、カナンはその場を一歩も動こうとはしなかった。

訪れた一瞬の隙。カナンへ刃を投げつけたロプト。そして、その攻撃と引き換えに、その身を竜に喰われたロプト。そして、投げられた刃をその身で受けたカナン。かすかに切れた体から流れ出した血。あなたが生きた証、この身に刻んでおいてあげる。

私は再び生まれることが出来るのだから

少し、相手が悪かったですわ。いくら議長の使徒とはいえ、聖人であるジャンヌの攻撃を防ぐので精一杯のシャルラ。そして、攻撃の手を休めることなく、槍を振るい続けるジャンヌ。あなたも人間なら、わかるよね。それはジャンヌの希望でもあった。

さすがは、元天界の王といったところね。互いに、一歩も引くことなく互角の争いを繰り広げるラウフェイとニコラス。いや、俺は元天界の王として戦ってるわけでもなけりゃ、聖人として戦っているわけでもない。ただの父親として戦ってるだけさ。

なかなか、しぶといじゃない。シャルラを相手に、息を切らしていたジャンヌ。それは、ジャンヌがシャルラを殺さないように戦っていたからだった。その甘さが命取りだ。シャルラの体を貫き、そのままジャンヌを貫いた氷の刃。アンタって、最低ね。

そう、シャルラの背後から、シャルラごとジャンヌを貫いたのはラウフェイだった。急いで駆け寄るニコラス。もう、アタシなにしてんだろ。もういい、ゆっくり休んでろ。そして、悲鳴さえ上げることの出来ないシャルラ。人間の血は、絶えるべきね。

そして、再び対峙したラウフェイとニコラス。いい加減にしろよ、オマエら。ニコラスが展開した無数のドライバ。その数は、サンタクローズが展開したドライバ数を遥かに凌駕していた。なぁ、選べよ。自分で死ぬか、俺に殺されるか、どっちがいい。

ラウフェイの周囲の神魂をひとつ残らず消し去るニコラスの攻撃。だが、それでも表情を崩すことのないラウフェイ。私はただ決定に従うだけ。だからこそ、ラウフェイは死を恐れはしなかった。新しい世界、私は再び生まれることが出来るのだから。

じゃあ、俺に殺されろ。ラウフェイの体に突き刺さる無数のドライバ。これが、オマエへの最後のプレゼントだ。そう、ニコラスの「最後」には希望が込められていた。新しい世界なんか、もう必要ないんだ。決して、イマの世界を終わらせたりしねぇ。

ボクは聖神アーサーを信じているから

再び、場面はロキとサンタクローズへ。ボクのこと、そんなに殺したいのなら、殺せばいいさ。そう言いながら、ロキはサンタクローズの攻撃をあえて受けてみせた。まだ、ボクにも赤い血は流れていたんだね。ハハハ、はははは、ハハハハははハハハ。

なにがおかしい。そして、サンタクローズは手にした刃をロキの首筋へと添えた。世界の決定は覆らない。だって、ボクは彼をさ、聖神アーサーを信じているから。だから、新しい世界でボクはまた生まれる。そうだよ、ボクは永遠の存在なんだから。

楽しかったな。色々と楽しかった。ボクはボクのやりたいようにやった。後悔はないよ。ボクはボクで、イマを生きたんだ。だって、キミたちはこんなにもボクたちを追い詰めた。だから、ボクの役目はそろそろお終いだよ。ありがとう、抗ってくれて。

それが、お前の遺言だな。そして、サンタクローズは刃を握り直した。お前の言う新しい世界なんか、訪れやしない。俺たちは誰もそんなこと望んじゃいないんだ。少しずつでいい、俺たちは少しずつ、確実によりよい未来へと歩いて行けるんだから。

それじゃあ、これでお別れだ。サンタクローズの刃が動き出した瞬間、辺りに響き渡った声。待ってください。そう、その声の正体はオズによるものだった。少し、待ってください。サンタクローズへと歩み寄るオズ。彼に、結末を見届けさせましょう。

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残された決定者

せめて最期は始まりの場所で

扉の先へ:処刑場

ようやく見つけた。その言葉はずっと行方不明だったジョーイによるものだった。こんなときに、邪魔するんじゃねーよ。その言葉はライルのものだった。そう、ふたりの邂逅が果たされたのは天界の聖夜街の外れ。オレたちはいま、忙しいんだ。

だが、そんなライルの言葉が聞こえていないのか、聞こえていないフリをしているのか、ジョーイは本能の赴くままにライルへと刃を向けた。あー、もうイライラさせんじゃねぇよ。そんなジョーイの刃をいとも簡単に弾いたライル。少し遊んでやるよ。

やっぱり、殺し合いだよね。いつになく楽しそうなジョーイ。そして、いつになく不機嫌なライル。ここは、綺麗にしとかなきゃなんねぇんだよ。そう、ライルは聖夜街の外れで準備をしていた。せめて、最期はここがいいだろうと思ってさ。そこは―。

―かつての聖王であり、聖神アーサーの処刑場だった。真っ白な雪が降り積もる始まりの景色。それなら、終わりもここが本望だろう。だから、ここを汚すわけにはいかない。わぁ。ひと突きで訪れた終焉。ジョーイは、最期のときまで楽しそうだった。

終わったのね。そう言いながら現れたリオとモルガン。そして、モルガンが手にしていた聖剣の鞘。やっぱり、アイツを殺すのはオレの役目なんだ。だから、早く連れ帰ってこいよ。そう、すでに統合世界ではアーサーの処刑の準備が進められていた。

世界の理

扉の先へ:聖神

神界に模されて創られていた理想郷アヴァロン。その最奥の玉座にひとり腰をかけていた聖神アーサー。彼は終わる世界を見ながら、なにを考えているのだろうか。なにを想っているのだろうか。彼の心を知るのは彼ひとり。そして、最後の幕は上がる。

思い返せば、それは短い道のりだった。そして、長い道のりだった。始まりは雪降る聖なる夜。ふたりの優しさが生んだ親友との出会い。そして、その出会いが決定付けた彼の生きる道。選ばれた王道。王たるものは民に弱さを見せることは出来ない。

やがて王は闇へと堕ちた。堕ちようとも、王が見つめていた希望。その希望がもたらしたのは神への道。そう、神たるものは王に弱さを見せることは出来ない。だから俺は決して立ち止まることは出来ないんだ。それが、神という存在なのだから。

神は王へ、民へ恵みを与えると同時に、必ず試練を与える。それが正しいのか、間違っているのか。議論の余地はない。それが神の存在意義なのだから。イマの世界へ与える試練。そして、代わりに与えられる恵みは生まれ変わる世界。それが世界の理。

神話の時代から、世界は常に崩壊と再生を繰り返していた。そこに疑問を抱く神々は少なかった。そう、今回の世界が生まれ、イマのために戦う者たちが現れるまでは。だが、なぜ今回の世界はその輪廻の歯車から外れようとしているのだろうか。

数多の因果が絡まりあい、生まれてしまった禁忌の子。そして、沢山の愛情に包まれながら、生きてしまった禁忌の子。だからこそ、その子だけは理の外側にいた。そうさ、俺に出来ることは、もう少ししか残されていないんだ。それは、なんのためか。

それとも、誰のためか。ただ、アーサーは終わりゆく世界を見つめながら、自分のやるべきことを見据えていた。どうか、世界が平和でありますように。それは、いつか彼が抱いていた希望。どうか、世界に幸せが溢れますように。それもまた、希望。

少しずつ、近づく足音。その音は7つだった。ようやく、あいつらが来たみたいだ。真剣な表情だったアーサーの口角が少し上がる。彼らは、希望だろうか、絶望だろうか。そう言葉を口にしたのは、音もなく現れた創醒の聖者。さぁ、どっちだろうな。

君という存在は、世界に――

世界の終わりというのは、いつも悲しいものだ。無表情のまま、似合わない言葉を口にした創醒の聖者。君はいま、どちらを見つめている。アーサーのほうを向くことなく、問いかけたのも創醒の聖者だった。俺が見たい景色は、昔もイマも変わらない。

そして、創醒の聖者は続けた。幾重にも連なった悲しみの連鎖、それを終わらせることなど出来はしない。だが、それでも君が望むのなら、その世界を見せよう。映し出された世界。これが君の理想とした世界だよ。そこにはひとつの扉が浮かんでいた。

ただ、なにもない空間。浮かんでいた扉。その扉は瞳にも似ていた。そして、その瞳にはなにも映ることはない。これが、私たち聖なる扉<ディバインゲート>が見つめる世界だ。私たちの瞳には、決してなにも映らない。世界の歩みは止まるのだから。

悲しみの連鎖が途切れること、それは世界の進歩を止めるに等しいこと。だから、その世界にはなにも存在していない。その世界は絶えるのだから。だからこそ、私たちは世界を創り直す必要がある。そう、これは生きとし生ける命のためなのだから。

そうだな、俺もそうだと思う。そう答えたアーサー。いや、思っていた、と言ったほうが適切かもしれないな。そう言い直したアーサー。いいや、いまさらなにを言っても変わりはしない。そう続けたアーサー。君はいったい、なにを思っているんだい。

俺は俺の、成すべきことをするだけさ。それが、この世界の終わりだと知ってのことか。あぁ、それでも俺は構わない。たとえ世界が果てようと、それでも新しい芽は生まれる。やがて、花は開く。俺はその可能性を信じる。それが俺の見た希望だ。

そんなことのために、君は自分を犠牲にするというのかい。アーサーから抜け落ちた感情。失われていた自己愛、残されていた慈愛。そう、それこそが世界の理の外側の存在であるがゆえ。ようやくわかったよ。君という存在は、世界に存在していない。

共にひとつになろう

かつて、聖王アーサーという存在は間違いなく世界の中心に存在していた。だが、その心はその世界には存在しているようで、存在していなかった。創醒の聖者が世界そのものを形創るのだとしたら、アーサーが形創ろうとしていたのは、世界の外側。

理の外側、そう、唯一の世界の外側の存在であるアーサー。彼が成すべきこと。それは世界の外側から、世界の理に干渉すること。すなわち、世界の内側を司る聖なる扉への干渉。消滅。いまの俺なら、それが出来るだろう。そう、俺は成すべきことを。

かつて、堕ちし王が選んだ神への道。それは決して絶望の道ではなく、希望の道だった。やはり、この世界にディバインゲートなんて必要ないんだ。だからこそ、俺がこの繰り返された崩壊と再生の歴史に終止符を打とう。イマを生きる命をかけて。

入口が存在するから出口が存在するかのように、内側が存在したからこそ存在した外側。ならば、私は君を喰らうことで、完璧な存在になれるのだろう。そして、俺はその言葉をそのまま返させてもらう。そう、共にひとつになろう。聖なる扉として―。

アカネたちが辿り着いた王の間への入口。重い扉から溢れ出した金色の瘴気。そう、この奥にアーサーがいる。意を決して開かれた扉。置かれていた玉座。たった「ひとり」の人影。ようこそ、聖なる扉の間へ。君たちを歓迎しよう、そう―この私が。

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願いの果て

願いの果て

扉の先へ:願いの果て

そこにアーサーはいなかった。アカネたちを見つめていたのは愛を統べし者。彼はもういない、私は彼で、彼は私なのだから。だが、その語り口で伝わった真実。そう、アーサーは飲み込まれたという事実。私と共に、生まれ変わる世界を見届けようか。

ただ、立ち尽くすことしか出来ないアカネたち。愛を統べし者の背後、浮かんでいたディバインゲート。ねぇ、どうして。アオトが気づいた異変。徐々に、その体が光へと変わるタマ。アイツの心は、もう、どこにも存在しないってことなのかよ。

ふざけんなよ。怒りを隠すことの出来ないアカネ。あぁ、その怒りをぶつけてやればいい。アカネに寄り添うように現れたイフリート。俺が教えてやるよ、オマエが愛した世界は、やっぱり愛すべき世界だった、ってことを。この拳で、教えてやるよ。

大丈夫だよ、彼はきっと帰ってくる。そう声をかけたのはアオトに寄り添うウンディーネ。同じ血が、それを感じているの。ウンディーネに受け継がれた呪い。それもまたアーサーが受け継いでいた呪い。うん、だから僕たちは、僕たちのすべきことを。

ねぇ、師匠。私ちょっとワクワクしてるんだ。だって、私はいまから世界を救うんだよ。こんなことって、きっともう二度とない。ううん、二度と起こらないように頑張るね。それでこそ、ウチの一番弟子ネ。それじゃ、おもいっきり駆け抜けるよ!

私は信じてる。それがなにか、ウィルオウィスプは尋ねなかった。私が聞きたい言葉は、さよならじゃないんだよ。私が聞かせたい言葉も、そんな言葉じゃない。みんなで一緒に笑い合うんだ。私とパパとママ、父と母と姉、そして、お兄ちゃんと。

そんな表情が出来るようになったんだね。ユカリを優しく見つめたシャドウ。ええ、きっと私は変わった。だからみんな、変わることは出来るの。沢山の涙があった、だから私はいまここにいる。そんな沢山の涙を、無駄にするわけにはいかないもの。

ドライバを構えたギンジ。みんなが作ってくれた道、最後はめちゃくちゃにぶっ壊してもいいよな。あぁ、いままでよく我慢したな。となりで優しく微笑むゼロ。俺たちは真実を見届ける義務がある。こんな俺でも、イマの世界の希望なんだからよ。

始めようか、終わりの始まりを。最後の審判を。世界に訪れる終わり。生まれ変わろうとする世界。一斉にドライバを構えたアカネたち。俺たちの旅はこれでお終いだ。みんな、いままでありがとう。それじゃ、行こうか。イマの世界を生きるために。

やりたいこともない、夢なんてない、将来なんてどうでもいい。少年はいつも無関心だった。そんな少年が見つけた夢。見つめた将来。俺はイマを生きる。振り下ろされた斧。込められた最高幹部としての責務。それが、あの日の少年のイマの姿だった。

少女は夜が好きだった。訪れる静寂、紫色に染まる街、暗く深い「闇」に包まれていた。だが、刻は過ぎ、少女は優しい闇に包まれていた。死神のごとく、振り払う鎌が切り開く未来。あの日の少女は夜明けを求めた。そう、夜明けの先のイマを求めた。

光り輝く太陽の様な笑顔、少女はいつも笑っていた。楽しい時も嬉しい時も、哀しい時も苦しい時も、笑うことしか出来なかった少女。そんなあの日の少女は、最後まで笑顔だった。振り回される大剣。すべてはそう、イマの世界で笑い合うために。

少女は走る、誰よりも早く、今を駆け抜ける為に。小さくも巻き起こした「風」を身に纏って。あの日の少女が巻き起こした小さな風は、やがて大きな風に。構えられた棍はイマの世界への風穴を開けるために。世界さえも変えるほどの、大きな風へと。

ぽつり、ぽつり、降りだす雨。そんな空を虚ろな瞳で眺める少年の空いた心を埋める様に、滴り落ちていた雫。だが、その雫がもたらした恵み。あの日の少年が振るった一対の刀。悲しみの雨空を切り開き、イマの世界へ希望という虹をかけるために。

そして少年は「炎」に出会った。そして少年は「みんな」に出会った。いっぱい転んだ。だけど楽しかった。いっぱい泣いた。だけど楽しかった。思い出すのは、楽しかった出来事ばかり。俺たちはイマを生きるよ。行こう。開かれた扉の、その先へ―。

オズたちが駆けつけたとき、すでに戦いは幕を下ろしていた。立ち尽くすアカネたち6人。目の前に浮かぶディバインゲート。その間に横たわるひとりの男。はは、そんな、嘘だ、嘘でしょ、ボクは認めないよ。ねぇ、どうしてだい、ボクは、ねぇ―。

横たわったひとりの男へと駆け寄ったサンタクローズ。そして、呼び続けたのは、あの日に与えられた伝説の王の名前。あの日の僕らはもういない。俺たちはこれからを生きるんだ。お前はもう、頑張らなくていいんだ。だから一緒に帰ろう。聖夜街へ。

アーサーの最後の決断。創醒の聖者に取り込まれ、内側から封じた力。だからこそ、開かれた道。これがキミの描く物語だったんだね。嬉しいよ、結末が見れて。高揚したロキ。それなら、もう満足でしょう。そして、ロキの首に突き立てられた炎の剣。

それじゃあ、行ってくる。アカネたちは、振り返ることなく目の前のディバインゲートへ。行ってらっしゃい、少年たち。待っているのは、希望かな、絶望かな。その言葉と共に、燃え上がるロキの体。あぁ、認めよう。ボクたちの負けだよ。サヨナラ。

いつかまた会おう。アカネたちが見送ったのは、扉の中へ消える精霊王。それは差し出した希望であり、受け取った絶望。金色の光と共に消滅するディバインゲート。零れ落ちる涙。泣いてもいいじゃないか。俺たちは、不確かなイマを選んだんだから。

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終章

扉の先へ:終章

―あれから、少しの月日が流れた。私たちが選んだイマの世界。閉ざされた聖なる扉は、反発しあう呪いのもと、消滅が観測された。そう、争いは終わった。多くの犠牲と引き換えに、長きにわたる争いは終わったんだ。ひとりの男の最期だけを残して。

俺は納得出来ない。ギンジは声を荒げた。だが、これがアイツの望んだ結末だ。ギンジを見つめ、そう答えたダンテ。悪いが、俺も納得出来ない。ダンテに対して、そう言葉にしたニコラス。ええ、アタシも出来ないわ。そう続けたのはジャンヌだった。

僕は、少しだけわかる気がします。そう口にしたのはオズ。僕はずっと、彼を好きになれなかった。だけど、彼がいたから僕たちの未来は生まれた。そう、これが彼の望みであれば、叶えてあげるべきではないでしょうか。本当に、彼が望むのであれば。

いまさら、誰が本当のことを信じてくれるのかしら。口を挟んだユカリ。彼は世界の敵だった。そう、だった。だけど、彼がしたことに、弁解の余地はない。それ以外の方法がなかったとはいえ、彼は多くの犠牲を生んだのだから。それは消せない事実。

じっと俯いていたヒカリが溢した言葉。私は生きて欲しい。一生懸命、これからを生きて欲しい。たとえ、彼がそれを望まなかったとしても、それを望む人は沢山いるんだよ。そして、零れた涙。もう、私は嫌だよ。誰にもいなくなって欲しくないよ。

ヒカリを優しく抱きかかえたミドリ。どうにか出来ないんでしょうか。そんな言葉を口にしたミドリはわかっていた。たとえ、自分たちがその決断を下さなかったとしても、彼は自らこの決断をしてしまうと。やっぱり、こんな最後なんて、私は嫌です。

訪れた沈黙。交錯するそれぞれの想いと彼の想い。ひいては、生きとし生ける命すべての想い。そんな沈黙を壊したのはイージス。どうか、彼を救ってあげることは出来ませんでしょうか。そう、彼女が救いを求めた先。そこに神才マクスウェルがいた。

あるよ、ひとつだけ方法が。かすかに生まれた希望。もしそれを、彼が望んだら、だけど。そう、選んだ不確かなイマの世界に「完全」などという言葉は存在しない。やっぱり、最後は彼に委ねるしかないんだ。だから、彼の好きにさせてあげなよ。

これが、僕たちの選んだイマなんだね。そう、わかっていた。イマの世界でも、決して止まることのない涙。僕たちは選んだんだ。そして、僕たちに選ばせてくれたのも彼なんだ。だから、僕たちに出来ることはひとつだけ。初めから、そうだったんだ。

俺はわからない。なにが正しいのか、なにが悪いのか。だけど、きっとそういうものなんだと思う。俺たちはこれからも、迷いながら、悩みながら生きていく。そうする以外、道はない。それが俺たちの選んだイマなんだから。あぁ、最後を見届けよう。

しんしんと降り積もる粉雪。コンコン。扉の鳴る音がした。ガチャ。扉の開く音がした。お待ちしてましたよ。そう優しくエリザベートが出迎えたのは11人の人影。ご案内しますね。そして、エリザベートは歩き始めた。行きましょう、彼が待つ丘へ。

雪積もる丘の上、互いに預けあう背中。あの日、世界でいちばん近いふたりは、世界でいちばん遠い場所を見つめ合いながら、ひとつの約束を交わした。そして果たされた片方の約束。次は俺の番だな。立ち上がった片方の男。それじゃ、行ってくるよ。

残された男はひとり、静かに世界を眺めていた。そんな男の許へ歩み寄る11人。思わず涙が溢れ出たレオラ。お疲れさまでした、ボス。そして、男は振り返った。金色の瞳に映し出された11人の円卓の騎士。ありがとう、最後まで俺を信じてくれて。

思わず抱きついたフェリス。ずっと、ずっと、ずっとずっと会いたかった。そんなフェリスを優しく抱き締めかえした男。ふたりを見て、優しい笑顔を浮かべたローガンとブラウン。長生きはするもんですな。あぁ、おかげで素敵な光景を見れました。

あんたが見たかったのは、イマの世界だったんだな。そう溢したロア。ったく、格好つけやがって。同調したラン。だけど、もういいさ。俺たちはいつだって、あんたが見たい景色を見たいんだから。そう、いまも昔も、それは変わってなかったんだ。

ただ見つめていたヒルダ。いいんですか、彼のこと殴らなくて。そう笑ってみせたアサナ。ふんっ、私だって空気くらい読めるわよ。ふふ、らしくないですね。思い出したかのように、ヒルダは右手を強く握り締め、そして俯きながら肩を震わせていた。

ミレンとオリナ、ふたりは肩を並べ、優しく男を見守っていた。ありがとう、アタシはボスが守ってくれた世界を、広い世界を大切にするよ。ええ、とっても素敵な目標じゃない。そして、ミレンがひとり溢した言葉。それならきっと、彼は報われるわ。

なんて声をかけたら良いかわからないアスル。そんなアスルへ向けられた一言。こんなに、背が伸びていたんだな。それは、近い距離だからこそ言えた言葉。ようやく訪れた幸せな時間。だが、その幸せは長く続くことはない。そろそろ、いいかしら。

現れたリオ。リオの姿を見てもなお、優しい顔の男。リオの訪れがなにを意味しているか、わかっているのにも関わらず、男は優しい顔をしていた。俺の望みを叶えてくれて、ありがとう。君は決して裏切り者ではなかった。君を迎え入れて良かった。

もう、思い残すことはないか。その言葉とともに現れたライル。あぁ、ないと言えば嘘になるな。男はそう答えた。なら、その選択をすればいい。目を合わせようとしないライル。そう、ライルはその選択をさせたかった。―行こうか、処刑の時間だ。

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本当の気持ち

本当の気持ち

扉の先へ:愛する世界

聖夜街の外れ、雪降り積もる世界。沢山の人が見守る中、処刑台へと上ったひとりの男。愛する世界のため、世界の敵となることを選んだ男、コードネーム・アーサー。俺がすべての責務を果たそう。そして消えよう、聖なる扉の最後の欠片として―。

扉の先へ:愛する世界Ⅰ 台詞

(先制)「さぁ、責務を果たそうか」
(01T)「どうしたんだ?」
(02T)「早く俺を、討つがいい」
(03T)「これで、すべてが終わるんだ」
(04T)「聖暦という時代に、幕を下ろそう」
(05T)「これは終わりではない」
(06T)「そうさ、始まりなのだから」
(07T)「さぁ、早く」
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(30T)「……ありがとう」
(31T)「だからこそ、幕を下ろそうか」
(32T)「すべての出会いに……」
(33T)「……ありがとう、さよなら」

扉の先へ:愛する世界

ライルの持つ聖剣が貫いたアーサーの体。その聖剣を持つ手は震えていた。引き抜かれると同時に、真っ赤に染まりゆく真っ白な雪。そして、ライルは俯きながらアーサーに聖剣の鞘を差し出した。……なぁ、選択しろよ、お前が本当にどうしたいかを!

いつその力が暴走するかもしれない聖なる扉の欠片であったアーサーを救う唯一の方法、それは鞘の力を使い、その体を普通の人へと修復すること。鞘を受け取ったアーサーは残された命を振り絞りながら、世界を見つめていた。あぁ、俺は決めていた。

そう、決めていたはずなんだ。だが、どうして。俺は死ぬのが怖いのだろうか。瞳から零れ落ちた涙。そうか、俺が恋した世界は、みんながいたから愛せたんだ。もし、許されるのなら、いや、許されなかったとしても、俺はイマの世界で生きたいんだ。

あの日、否定され続けた命は肯定された。そして刻は経ち、再び肯定されたその命。アーサーを包み込んだ鞘の光。みな、口を揃えてこう言った。世界の敵だったアーサーは処刑された、と。そして、みな、口を揃えてこう続けた。お帰りなさい、と。

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イマの世界

扉の先へ:イマの世界

西暦2017年5月28日、聖なる扉の消滅を観測した。終わりを迎えた聖暦という時代、終わることのないイマの統合世界<ユナイティリア>。炎の少年、水の少年、風の少女、光の少女、闇の少女、無の少年、6人の長き冒険の旅は終わりを迎えた。

彼らの冒険を、最後まで見届けてくれてありがとう。彼らに代わり、私から礼を述べさせてもらおう。きっと、彼らはこれから過去になるだろう。だが、どうか彼らのことを忘れないであげて欲しい。イマを生きることを選び、必死に戦い抜いた彼らを。

不確かなイマ、それは決して完全なものではなく、脆く儚い世界。悲しいこともあるだろう。傷つくこともあるだろう。涙することもあるだろう。だが、それが生きるということなのだから。もし、辛くなったら思い出して。必死に生きた彼らのことを。

彼らが生きた記憶は、みなの心の中で生き続けるのだから。そう、観測はここで途切れる。だが、それは決して終わりではないんだ。そうさ、イマの世界は続いていく。共に、不確かなイマを生きていこう。大丈夫さ、私たちと出会えた君なら、きっと。

そして、扉を越えた彼らになにが待っていたのか、もう少しだけ彼らの未来を覗いてみようか。それが、私から君への最後の贈り物だ。またいつの日か出会えることを願って、再会を約束しよう。さよなら。            記・観測神クロノス

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